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“ユキを愛でる会”グループチャットで行われた女子高生陰湿いじめの実態

いじめ探偵事件簿 #2

2021/04/02
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 転校初日、ユキはクラスメイトから歓迎会に誘われた。6~7人の女子とともに友人の家を訪れ、ジュースやお菓子を食べながらお互いに自己紹介した。友好的なムードを感じ、「ここなら馴染めるかも」とほっとした。だが、会話が進むにつれて、違和感を覚えた。

「ユキって、なんでお父さんいないの?」

「お母さん給料いくらもらってるの? 生活大丈夫?」

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 田舎特有の距離感の近さなのだろうか。プライベートに踏み込み過ぎだと感じた。

「その服、かわいいね。ちょっと貸してよ」

 そう言われてジャケットを貸すと、セーターも着たいとせがまれた。だが、セーターの下は肌着だ。そう言って断ると、気まずい空気が流れ、相手の態度が一変した。

「ちょっと、調子乗らないでよね! いいから貸してよ!」

 ふざけ半分ではあったが、全員から身体を押さえつけられ、セーターと肌着を胸元までまくりあげられた。写真まで撮られた。「ごめん、先に帰るね」。恐ろしくなって、ユキはそのまま走って自宅に逃げ帰った。

加害グループを尾行

 その後、いじめが始まった。放課後や休日になると、クラスメイトたちは「お邪魔しまーす」と言って無断で自宅の部屋まであがってきた。そのたびに、文房具やコスメ類といった小物がなくなった。“首絞めゲーム”と称して、気絶しそうになるまで首を絞められたこともあった。

 LINEのグループチャットには入れてもらえず、学校では無視をされたり持ち物を捨てられたりした。ユキは精神的にむしばまれて、二の腕を自傷するようになり、夏にはバスタオルを使って、自室で自殺未遂した。母親が阿部氏に相談の電話をしたのは、この直後だった。

 阿部氏は調査を進め、加害者グループが放課後にショッピングモールのフードコートで集まっている場面を目撃。尾行を続けると、彼女たちは店内で万引きを始めた。看過できずに声をかけると、女子たちは蜘蛛の子を散らすように逃げたが、一人だけ逃げ遅れた子がいた。阿部氏が強い言葉で呼び止めると、観念した様子で立ち止まった。

「盗んだもの、どうする?」

「お金払いますよ」

「いや、一緒に店まで返しにいこう」