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「ゲスなものじゃないと思っていても、周りはゲスに見ている」40歳超の“出張ホスト”が語る仕事への“偏見”

『男娼』より #1

2021/05/26
note

見た目で判断されるのは最初だけ。中身が伴っていなければ駄目

―風俗嬢の場合だと、店舗数と働き手が増えすぎデフレ状態になったところに不景気が重なって、さらに参入者が増え、稼げなくなったと言われる状況があるのですが、出張ホストはそういうことはない? 

「うーん。ホスト志願が増えたのは、さきほど言ったように、登録さえしてしまえば誰でも始められる手軽さだと思いますけど、ベースに景気が関係しているのかなぁ。でも、出張ホスト自体は景気に左右されていない気がします。旦那さんの収入が景気に左右されているのかな? よくわからないですけど、逆に男は風俗に行くとき、自分の欲望を満たすことを優先させるかと思いますが、女性は逆で、家庭があっての余興なので堅実的ではありますよね」

―旦那さんの景気が奥さんのお小遣いに反映されると思うので、最近、指名が減っているなと感じるときはあります?

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「正直なところ、景気というよりも、出張ホストがたくさん出てきたことが原因のような気がするんです」

 風俗嬢を語るとき、供給過多のデフレ状態のところにリーマンショックが起きて、経済の煽りを利用者、従事者ともにこうむることになったと、ここ数年はまとめられていた。出張ホストも彼が言う「増えすぎた」という点でデフレ傾向にあると言えるのだろうが、その背景に景気が大きく関係しているのかは、3人の出張ホストを取材しただけではわからなかった。同じ質問をしていても、それぞれ違う返事が来ることもあった。

―男の子に「出張ホストって儲かりますか?」と聞かれたらなんてお答えします?

「君しだいだよと言うだけですね。それに尽きると思います。もし持って生まれた見た目が人よりいいのであれば、いい線までいけると思います。まずは見た目で判断される仕事なので。ただ、そういう時期は最初だけ。2回、3回とリピートしてもらうには努力が一番。いくら格好良くたって、中身が伴っていなかったら駄目」

―ちなみにお友達に同業者はいらっしゃいますか?

「今はいません。前はつながっていましたけど」

―同業の男性って、どういう理由で辞めていくのでしょうか?

「指名がなくなったとか、思ったより全然稼げなかったとか、それしかないと思います。あとは、本業と両立できないとか」