男性による風俗サービス産業の存在は、いまや多くの人に知られているだろう。しかし、実際にどのような行為が行われているのか、どのような人がサービスを利用しているのか。謎に包まれた部分はいまだに多い。

 ここではライターの中塩智恵子氏による著書『男娼』(光文社)の一部を抜粋し、“男娼”たちの証言を紹介する。(全2回の2回目/前編を読む)

写真はイメージです ©iStock.com

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ニューハーフヘルスの「基本プレイ」って?

 2016年の9月に会社を退職し、上京。AV出演の話は決まっていたがニューハーフデリヘルでも働き始めた。男の娘は彼だけで、ほかはニューハーフというお店だった。

「AV女優になりたくて会社を辞めましたけど、AVだけでは食べていけないので、最初は軽い気持ちでニューハーフヘルスを始めました。じっさいに始めてみると、お客さんと接することが好きになっていって」

 しかしそこは営業不振から閉店。彼は現在、男の娘が7割を占めるお店で働いている。平均して週5出勤、1日の労働時間約10時間。平均日給約4万円前後で月収約80万円~多いときで100万円弱になるそうだ。彼はAV嬢でもあるので売れっ子のポジションにいるはずだ。となると、ニューハーフヘルスで月収約80万円~100万円前後がフルタイムで働く人気嬢の稼ぎと解釈しても良さそうだ。額面だけ見ればうらやましい収入かもしれないが、プレイ内容を含め、じっさいのところどうなのだろうか。妥当なのかそうでないのか。

―ニューハーフヘルスって基本プレイはあるんですか?

「あります。基本プレイになりますと、キス、ディープキス、そしてAF(アナルファック)、逆AF、フェラ。あと、全身リップ(全身を舐めるプレイ)」

―プレイ時間は? 

「大体は90分からです。60分からという店はめったにないです」