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―この僕の抑えられない衝動を解消してくれてありがとう、と?

「そうですね。そういう方ばかりです。『中性的な人が好きです』と、お名刺を置いていかれる方もいますよ。『若い部下に手を出しちゃいそう』とかおっしゃる会社の社長さんもいます」

―エロ社長?(笑)

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「エロ社長が来ますね(笑)。男の娘が好きみたいで」

アンバランスさと倒錯感に欲望を刺激される人たち

―ニューハーフヘルスって特殊なのかな。今回ウリセンボーイにも取材したんですけど、ウリセンボーイもお客さんに「早く辞めたほうがいいよ」と言われるようなんです。

「ウリセンですら(笑)」

―その上を行くのがやはり風俗嬢で、風俗嬢の場合は、かなり言われるみたいです。でもニューハーフヘルスはないんだ……。

「ニューハーフヘルスはかなり特殊だと思いますね。私のフェイスブックのコメントを見ていただくとだいたいおわかりになると思うんですけれど」

 そこで彼は自分のフェイスブックを私に見せてくれた。彼のきわどいセクシーショットが連なり、そこには実名で男性たちが「さとみさんと本番やりたいです」「早く会いたい」「何度も抜いちゃう」と、欲望丸出しのコメントをしていた。女性のようでそうでない身体にあどけなさが残る表情。そして男性器つき。アンバランスさと倒錯感に欲望を刺激される人たちは、むしろ、自分の性癖にこたえてくれるセックスワーカーにへりくだる傾向があるのかもしれない。土下座で感謝の気持ちを表すほどに。同じセックスワークなのに、ユーザーの属性で、セックスワーカーへの態度がこうも変わってくるのだ。

―やっぱりうれしいですよね、こんなふうに言ってもらえると。

「うれしいですね。地下アイドルに近いような感じです」

【前編を読む】「ゲスなものじゃないと思っていても、周りはゲスに見ている」40歳超の“出張ホスト”が語る仕事への“偏見”

男娼

中塩 智恵子

光文社

2018年6月30日 発売