女性向け風俗サービスの現役セラピストとして活動する男性が、サービスの内実を赤裸々に紹介した1冊の書籍が話題を集めている。
著者は2015年からセラピストとしての活動を続ける柾木寛氏。ここでは同氏の著書『「女性向け風俗」の現場 彼女たちは何を求めているのか』(光文社新書)の一部を抜粋。サービスを利用する女性の実像について紹介する。(全2回の1回目/後編を読む)
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最も多いお客さんは「43歳」
私のお客さんで一番多い年齢層は、40代になります。さらに細かく見ていくと、なぜか43歳の独身女性が多いのです。30代までは結婚を意識してきた女性が、長期的にシングルの人生を考えるようになり、性の部分を風俗セラピストで補おうと考えるのではないかと推測しています。
智子さんの例をご紹介します。
智子さんは43歳。都内に勤める会社員です。彼女は半年前に女性向け風俗の存在を知り、以降色々な店舗を開拓していました。彼女に女性向け風俗を利用する理由を尋ねてみたところ、独身女性の胸の内を教えてくれました。
「毎日同じことの繰り返しで、私の人生はつまらないなと思っていました。休みの日は家から出ないことが多いので、行動範囲が家→会社→スポーツクラブの三角形の範囲だけなんです。外出したとしても、たまに美容室かネイルサロンに行くくらいです。彼氏はもう5年いません。彼氏ができそうな気配すらありません。でもときどき、人肌が恋しくなってしまうんです。女性向け風俗の存在を知った時は、新しい世界を見つけた嬉しさで時間を忘れてネットサーフィンをしていました」
そう語る智子さんの目は、キラキラ輝いていました。
「風俗は、何回くらい利用したんですか?」
ラブホのソファーで、お茶をすすりながら質問をする私。
「柾木さんで20人目です。最近はお気に入りの3人をローテーションしていました。ですが、お気に入りのセラピストが次々と辞めてしまい、新規開拓を始めていたところでした」
長年お客さんを見てきて、気がついたことがあります。それは、お客さんには特定の1人にリピート依頼する人と、複数のセラピストにリピート依頼する人の2通りがある、ということです。複数のセラピストに依頼をしている女性に話を聞いてみると、若い男性、肉体が美しい男性、テクニックのある男性、女性の扱いが上手な男性、癒し系の男性、会話が楽しい男性など、そのときの気分で相手を替えているそうです。また、「色々な男性にちやほやされたい」と本音を語ってくれた女性もいました。
1人のセラピストだけだと恋愛感情が高くなってしまうので、複数のセラピストに気持ちを分散させていると話していた人もいます。
「ほろ酔い」くらいがちょうどいい
智子さんは知的な雰囲気の女性ですが、何かが枯渇しているようにも思えました。風俗を利用する女性は、少なからず何か闇のようなものを抱えているのを感じます。初めてそれに気が付いた私の頭の中には、藤子不二雄Aの『笑ゥせぇるすまん』が浮かんでいました。主人公の喪黒福造は、その人が抱えている問題(闇)から目をそらさせ現実逃避させます。