レンタル彼氏、女性専用性感マッサージ、出張ホスト。いまや珍しいものではなくなった“女性向けサービス”の体験を通して「女らしさ」「男らしさ」を考え直す……。

「女性専門の生活カウンセラー」として17年間、5000名以上と接してきた鈴木セイ子氏は、そのような取り組みを1冊の本『男を買ってみた。 癒やしのメソッド』(駒草出版)にまとめた。ここでは同書の一部を抜粋し、ワタルという男性から女性専用性感マッサージを受けた際のエピソ―ドを紹介する。(全2回の1回目/後編を読む)

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驚きの気遣い

「あ、それからね、ななさん、アロマ好き?」

 そう言うと、ワタルはまたバッグから何かを取り出した。

 なんと、簡易性のアロマ加湿器だ! 女子力高い! 君のバッグは本当に何次元なんだ!?

「ホテルって乾燥するでしょ。女性はデリケートだから。お肌大事だよ」

 と言いながら加湿器に水とアロマを入れ、焚いてくれた。

 乾燥していた部屋がゆっくりとラベンダーのいい香りに包まれていく……。

 抜かりないサービスに、激しく感動した。しかも、アロマのいい香りでなんとなくいい感じのムードにもなりそうだ。

「セラピストの皆さん、こんなことまでしてくれるのって普通なの?」

「どうだろう。でもセラピストそれぞれに何か工夫はしてるんじゃないかな」

「へー。すごいね。逆の立場でデリヘル嬢はここまではしてくれなさそうだよね。やっぱり女性相手のお仕事となるとサービスがすごいんだねぇ」

「そうね。確かに男性向けのサービスとは違うかもしれないね。ところで、マッサージはどうする? パウダーマッサージとか、アロママッサージもできるけど」

「パウダーマッサージって何!? 粉でマッサージするの? 餃子の皮みたいに粉まみれになるの?」

「あははは! そうはならないよ! ベビーパウダーでマッサージするんだけど、“サワサワ~”って指先で触られると感じる人いるでしょ。その“サワサワ~”感がより強調される感じ。アロマオイルのマッサージもできるよ」

「へ~。餃子の皮みたいにこねられるわけではないのね(苦笑)。パウダーはくすぐったそうだから、アロマがいいかな。普段から好きでよく行くし」

©iStock.com

「へ~そうなのね。ななさんは普通のエステよりアロマトリートメントの方が好き?」

 こんな会話から、お互いのなんとなくな日常の話が弾む。

仕事を始めたきっかけ

 私は、小さなテーブルを挟んでワタルの正面に座っていた。緊張していたので、このテーブルがちょうどよい距離感をつくってくれていた。

 スパークリングワインでほどほどに酔いが回り、途中からどんな話をしたのか具体的には思い出せないけれど、ワタルは普段は都心の大手企業勤務の営業マンで、バリバリの働き者。

この仕事を始めたのはお金のためではなく、自身、離婚を経験し傷心したことがきっかけで自分の心の隙間を埋めるかのように始めたと語っていた。