幅広い世代の女性たちの「性の悩み」に、男性が献身的に応えるサービスは今や珍しいものではなくなった。とはいえ、そうしたサービスを提供する男性たちが、いったいどのような人で、何を考えながら仕事に臨んでいるのかは、あまり語られてきていない。

 ここでは、「女性専門の生活カウンセラー」として17年間、5000名以上と接してきた鈴木セイ子氏による著書『男を買ってみた。 癒やしのメソッド』(駒草出版)から、同氏による女性向けサービス業に従事する男性、通称“彼氏”たちへのインタビューを抜粋、紹介する。(全2回の2回目/前編を読む)

◆◆◆

ADVERTISEMENT

人としての質が問われる仕事

「私みたいなおばさんより、スタイル良くて可愛い子がいいんでしょ? という気持ちでいる女性は多いんです。あとは、たまたま“質の悪いセラピスト”に当たってしまって嫌な思いをさせられても、女性ってなぜか自分のせいにしちゃうんですよ。自分の容姿だとか、年齢だとかのせいにして」

 そう語るのは、性感サービスの“彼氏”です。また、別の“彼氏”は、「自分の子どもが欲しいと言われ破局して以来、もう子どもを産める歳ではないので恋愛する資格はない、と言う女性もいました」

 身体的なデリケートゾーンに触れるだけでなく、心のデリケートゾーンまでもケアしているのが、この“彼氏”たちです。並大抵のホスピタリティでは務まるわけがありません。

 こういった女性たちが利用するからこそ、“彼氏”の人としての質が問われる仕事です。“彼氏”たちは普段どんなことに気をつけているのか、どんなことを思いながら女性たちと接しているのかうかがってみました。

「“僕をお金で買った”ということを忘れさせる」

“彼氏” 「他人との比較が癖になってしまっている方は、やたらと他の女性客のことを気にされますね。でも他のお客様のことは一切話しません。『ごめんね、そういうことは話せないよ』と優しく返すと、ほとんどの方が『そうだよね』と、どこかほっとした顔をします。“今目の前にいるあなたに集中させて”っていう気持ちが伝わるんだと思いますし、他人に自分のことを言われてるかも、という不安もなくなるんだと思います」

写真はイメージです ©iStock.com

 「なるほど。自分のお気に入りの“彼氏”が普段どんな女性のところに行っているんだろうって気になるのももちろんだけど、密かに“彼氏”の口が軽いかどうかのチェックもしているんですね。確かに、傷ついた経験をしている女性なら警戒しますよね。他に何か心がけていることはありますか?」

“彼氏” 「“僕をお金で買った”ということを忘れさせることを意識します。少なくとも今一緒にいる時間は現実逃避させてあげなきゃという思いもあるし、時間も忘れてほしいという思いで挑んでいます」