いまや珍しいものではなくなった女性向けの風俗サービス。しかし、実際にどのようなサービスがそこで行われているのか、また、どのような女性がサービスを利用しているのかをご存知の方は決して多くはないだろう。

 ここでは、女性向け風俗のセラピストとして活動されている柾木寛氏の著書『「女性向け風俗」の現場 彼女たちは何を求めているのか』(光文社新書)の一部を抜粋。当事者だからこそ知り得る現場の実情を紹介する。(全2回の2回目/前編を読む)

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女性向け風俗はどこまでしているのか?

 女性向け風俗に関して素朴な疑問があると思います。「どこまでサービスをしているのか?」ではないでしょうか?

 男性向け風俗は、本番なしのヘルスと本番ありのソープが存在しています。私がこの仕事を始めた2015年頃の女性向け風俗は、1人セラピストが趣味的に風俗営業をしている店舗が多い時代でした。そのため、お客さんである女性が望めば、なんでもありの時代だったと記憶しています。

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 女性向け風俗は、男性向けとは男女の立場が入れ替わります。お客さんである女性が望めば、性器の挿入ありの店舗は多かったようです。

 今はというと、セラピストを何人も抱えるお店が増えています。管理売春で経営陣が逮捕されるリスクがあるので、多くの店舗が挿入行為を厳しく管理しています。挿入行為が発覚したセラピストはクビになる店舗もあります。

 しかし、ラブホの密室で二人きりの世界、実際はどうなのかは当人たちにしか分かりません。以前、ある大型店舗のオーナーの耳に、1人のスタッフが挿入をしているという情報が入った際、スタッフ全員に「この中で挿入をしている奴がいる、後で私のところへ来なさい」と伝えたところ、出頭してきたのは1人ではなかったそうです。

 私も昔はお客さんの要望にできるだけ応えていました。しかし、様々なトラブルを経験して、今はハンドマッサージの施術に切り替えました。

 挿入のリスクは、性病だけではありません。女性は挿入を許すと、心が持っていかれてしまう人も少なくありません。心を持っていかれた女性が、歯止めが利かなくなる可能性も挿入は秘めています。稀にお客さんと、ベッドの上で「挿入してください」「できません」という押し問答になることがあります。だだをこねて粘ったり、機嫌が悪くなる女性を見ていると、男も女も変わらないと感じます。