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 極端な闇の例としては、夫の浮気を知った女性が夫への腹いせに、自身の身体を滅茶苦茶にして欲しいと依頼してきたことがあります。このような依頼は過去に3人ほどありましたが、私の予約が埋まっており2週間後になりますとお伝えすると、皆さん音信不通になります。恐らく、今すぐ滅茶苦茶にしてくれるお店に行かれたのでしょう。正直な話、夫婦間のいざこざに巻き込まれそうで怖いと感じている自分もいます。他の店舗では、浴室でお客さんが手首を切っていたという話もありました。もちろんそこまで深い闇は珍しいですが、お客さんは満たされない何かを持っています。

 性はお酒と同じく、現実逃避の手段、不満のはけ口にもなります。私は、満たされない何かを風俗で埋めようとすることが、悪いこととは思いません。しかし、「酒は飲んでも飲まれるな」という格言があるように、女性向け風俗も「ほろ酔い」くらいがちょうどいいのではないでしょうか?

 ある女性が、「風俗にはまっている時は気が付かなかったのですが、魔法にかかっていた気がします」と話していました。女性は性行為を、心と身体で感じます。女性の思考を前に向けることも、現実逃避させることもできる存在、それが女性向け風俗なのだと思います。

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相性の重要性

「前回、女性向け風俗を初めて利用した時にとても嫌な思いをしました」と話される女性も私の元に来ます。心に傷が残るくらいの嫌な思いをした人が、なぜまた女性向け風俗を利用するのか不思議でした。すると、「風俗を利用した自分をずっと責めていました。このままでは一生引きずると思い、それを払拭するためにお願いしました」と話してくれた女性もいます。

 女性向け風俗は、肌と肌のふれあい、そして心の満足度が対価となります。さらに、お客さん一人一人の感じ方が異なります。同じふれあいをしていても、心地よいと感じる女性もいれば、不快感を覚える女性も存在します。女性向け風俗は、女性の心を扱う不透明な世界です。そのため、セラピストとお客さんとの相性が重要になります。

(写真はイメージ)©iStock.com

 私の施術を受けた女性の感想を聞くと、感じ方に天地ほどの差がありました。「柾木さんの施術って、ヨガ教室みたいで背徳感を覚えにくくていいです」という感想がある一方、「柾木さんの施術って、エロいスイッチが入りにくいです」との感想もあります。私の場合は、施術を受けた半分の人がリピート依頼をしてくれます。裏を返せば、半分の人はリピートしたくないと思っているのかもしれません。ホームページやブログで、セラピストが自分の個性・特徴を表現して波長が合わないお客さんを選別していくことも、お互いにとって大事なことと感じます。

女性の「いや」で失敗した経験

 女性が感じている最中に言う「いや」という言葉はくせ者です。

 ある外国人男性が、困惑した表情で語っていました。「セックスの最中に女性が『NO』と言ったのに止めなければ、私の国では強姦罪に問われます。しかし、日本人女性の『いや』は嫌でないことが多いので分からないです」と。