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サラリーマン家庭でも増えてきた「生前贈与」を封じたい…改正に動く、財務省の“言い分”

2021/05/27
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 財務省の資料では諸外国の例を挙げ、英国は過去7年分、ドイツは過去10年分、フランスは過去15年分、アメリカは過去全ての生前贈与を相続税の課税対象にしていると説明されており、日本の3年ルールの延長が示唆されている(ただし世界には相続税の無い国もあり、アメリカは基礎控除額の10億円を超えて課税されるのはごく一部であるなど、相続税制度そのものが各国で異なり、このルールだけを当てはめようとすることに批判がある)。

「3年ルール」の延長はサラリーマン家庭をも直撃

 前述の税制改正大綱では、「現在の税率構造では、富裕層による財産の分割贈与を通じた負担回避を防止するには限界がある」としており、3年ルールの延長は富裕層の節税封じも目的にあると見られる。

 しかし同時に、現行の3年ルールで110万円の非課税贈与も対象となっていることから、期間が延長されれば同様にそのまま対象になる可能性がある。10年、15年、またはそれ以上に延びれば、サラリーマン家庭でもできるささやかな節税策が封じられてしまうのだ。

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 相続税制では抜け道があれば広まり、広まれば国税庁が封じるイタチごっこが続いてきた。案外、110万円の非課税贈与の利用者が増えており、それを封じるための改正にも見えるのである。

サラリーマン家庭でも増えてきた「生前贈与」を封じたい…改正に動く、財務省の“言い分”

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