『日本一カンタンな「副業」と「お金」の教科書』という本を書いた。副業の本を出すのは13年ぶり。そこで気付いたことは、副業の仕事が「素人」から「プロ」にスライドしている点である。
以前はオークションやアフィリエイトなど、やり方さえ覚えれば素人でも稼げる副業が多かった。しかし、今は専門的な知識や技術を要する副業に人気が集まっている。
様変わりした「副業」事情
たとえば、Webライターの副業は検索エンジン対策やオウンドメディアのノウハウがなければ、効率よく稼ぐことが難しくなっている。動画編集の副業も、YouTubeでバズる方法やクリック率を上げるサムネイルの制作技術がなければ、企業の案件が取りづらくなりつつある。リモートワークが普及したことで、専門知識を有するサラリーマンが、地方の企業へアドバイスする副業も人気だ。
自宅勤務で通勤時間がなくなり、時間を持て余している会社員が、減らされた残業代を取り返すために、特技や経験を生かして副業を始めているのが、今のコロナ禍のサイドビジネス事情といえる。
「見ず知らずの人にお金を払い、悩みを相談する人などいるのだろうか」
そのようなご時世だからこそ「電話相談」という、誰にでもできそうな副業に対して懐疑的な思いがあった。見ず知らずの人にお金を払い、悩みを相談する人などいるのだろうか。専門家やプロに需要が集まる今の副業の業界で、特別なスキルを必要としない電話相談という仕事が、ビジネスとして成立するとは思えなかった。
そんなうがった目でネットを調べていると、スキルや特技が出品できる「ココナラ」で、電話相談の副業をしている「けんちゃんママ」という主婦を見つけた。
どういう思いでこの副業を始め、どういう仕事をして、どのくらい稼げているのか。その他もろもろのことが聞きたくなって、けんちゃんママに取材を申し込んだ。
意外と重労働?「副業の一日」
「本当に普通の主婦なんです」
リモート取材に応じてくれたけんちゃんママの第一印象は「明るい人」。ココナラでトップクラスの人気を誇る人だったので、少しは横柄に出られることを覚悟していたが、拍子抜けするほど腰の低い女性だった。
「この副業のいいところは、自分の好きな時間に働けるところです。家事の合間の隙間時間を利用して仕事をすることができるんです」
電話相談は朝7時から深夜0時まで。多い時で1日6件ほどの相談を受ける。料金は自分で決めることができて、1分間の相談料金を設定し、話した分だけ料金が加算されていく。