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《深田恭子さんが活動休止》「適応障害」は身近な病気? 自粛生活で注意すべき“6つのポイント”

2021/06/02
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コロナ禍がメンタルに与える“6つの影響”

(1)テレビで毎日のようにコロナの不安を強調する報道がくり返されている

 テレビのコロナ報道は人びとに自粛を求めることを目的としているため、重症者の増加や医療現場の逼迫、変異株のリスク、感染経験者の悲痛な声など、安心させる情報よりも不安を強める情報に偏りがちです。そのため、とくに高齢者ではコロナを怖がる人が多く、かえって心身にマイナスの影響が出ていると指摘されています。臨床医の話を聞くと、「コロナが怖い人には、テレビ(とくにワイドショー)は見るなと言っている」という人が少なくありません。

(2)親しい人とコミュニケーションを取りにくい状況が続いている

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 ストレスや不安を和らげるには、家族や友人など親しい人に話を聞いてもらうことが大切です。しかし現在、コロナ禍のために外で人とおしゃべりしたり、ランチやお酒を飲む機会が限られています。高齢者ではコロナを恐れるあまり、孫や子どもと長い間会っていないという人もたくさんいます。人とあまりしゃべらないとうつに陥りやすいだけでなく、認知機能も低下しやすくなります。ビデオ通話や電話でもいいので、定期的に家族や知人とコミュニケーションを取るようアドバイスする医師が少なくありません。

(3)外に出ることができず、運動する機会が減っている

 複数の研究で、身体活動や運動がうつ病や不安障害の予防・治療に効果的であると報告されています(COMHBO「うつと運動」(医師))。しかし、ステイホームやリモートワークが呼びかけられているために、散歩や通勤の機会が減って運動不足に陥っている人が多くなっています。運動不足になると昼間疲れないので、夜、不眠に陥りやすくなり、メンタルにも悪影響を与えます。また、運動不足は糖尿病のリスクを上げますが、糖尿病の人はうつ病になりやすく、うつ病の人も糖尿病になりやすいことが知られています(e-ヘルスネット「糖尿病とこころ」)。身体の不健康は、心の不健康にもつながっているのです。

(4)緊急事態宣言や時短要請で仕事や収入が減った

 繰り返される緊急事態宣言や時短要請によって職を失ってしまった人や収入が途絶えてしまった人、多額の借金を抱えてしまった人が急増しています。失業率と自殺者数には強い相関のあることが知られており、10年連続で減少していた自殺者数は昨年、増加に転じました。このまま過度な自粛がくり返されると、2万人台まで減った自殺者数が再び3万人を超え、4万人を超える可能性もあると指摘もされています(リクルートワークス研究所「自殺の影響は広範囲にわたる―新型コロナウイルスによる失業が健康や自殺に与える影響」)。

(5)リモートワークによって、家族が家にいる時間が増えた

 政府や自治体が推奨するリモートワークによって、業種によっては在宅勤務が当たり前になりつつあります。家族とコミュニケーションを取る時間が増えるというプラス面もありますが、一方で、ずっと一緒にいることでストレスが高じ、夫婦間でのDV(家庭内暴力)や子どもへの虐待の相談が増えていると報じられています(NHK「高まるDVリスク どう対処」)。当然、こうした暴力・暴言を受けた人たちのメンタルへの悪影響も無視できません。

(6)家飲みする機会が増えた

 緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置が取られている地域では、飲食店のアルコール提供の自粛が要請されています。そのため、ますます家飲みする人が増えました。しかし、家で飲むと終電を気にする必要がないので、飲む量が増えてしまったり、眠るまで飲む人が増える危険性があると言われています。アルコール依存症は肝臓や食道など内臓にダメージを与えるだけでなく、うつ病や自殺のリスクを上げることも知られています(e-ヘルスネット「アルコールとうつ、自殺」)。