文春オンライン

連載クローズアップ

岡田ひとみ「Eテレで大人気のお姉さんが原点に返る〈ねんど作品〉の個展」

クローズアップ

note
池田晶紀(ゆかい)/©CHEESE

 NHKEテレ『ニャンちゅうワールド放送局』の「おねんどお姉さん」は、ねんどでいろいろな物の作り方を教えてくれる人気キャラクターだ。その作品は精巧そのものでねんど制作の実力は折り紙つきだが、ねんどをこねる時の「こねこね~こねこね~」というセリフや、自らデザインしたパステルカラーの衣装も一度見たら忘れられず、小さな子どもたちにはもちろんのこと、お父さんお母さんにも抜群の知名度を誇る。

 お姉さんを演じる岡田ひとみさんの本業は、“ねんドル”(ねんど職人+アイドル)。2002年の誕生日、自ら“ねんドル”宣言をして、ねんど作品の個展を開いた。

「同潤会アパート(当時。現表参道ヒルズ)のギャラリーコーワで、それまでに1年間作ってきたミニチュアフードやドールハウス作品を展示しました。小さくてかわいらしいものが多かったので女性のお客さんがたくさん来て下さって、当時のギャラリーの入場者数の歴代記録を塗り替えたんです。その時、作品を売って欲しいと言って頂くことが多かった。でも私は、売るよりも子どもたちに作り方を教えたい、と思ったんです」

ADVERTISEMENT

 教え方や安全な材料の研究を重ね、半年後に開いた2回目の個展に、ねんど制作教室を併設した。それから15年。今やその教室は全国で開催され、Eテレの「おねんどお姉さん」効果もあって、募集開始2分でチケットが売り切れる超人気ぶり。これまでに、延べ5万人以上の子どもたちに教えてきたという。

 そんな岡田さんが、原点となったギャラリーコーワで、“ねんドル”15周年を記念して、個展を開く。

個展『物語の途中で、』
写真は新作『あーぁも嬉しいクリスマス』

「私を知って下さっている方は『おねんどお姉さん』のイメージしかないと思うのですが、今回はテレビや教室とはちょっと違う表現をしたいと思います。タイトルは『物語の途中で、』。枯れてしまった花や、落としてしまったケーキや、食べ終わったお皿にグリーンピースが残っていたり……という作品です。流行りの言葉でいえば“インスタ映えしない”。普通なら写真を撮らないような、その一瞬に物語をとどめる作品を展示したいですね」

「物語の途中」とは、岡田さん自身のことも表している。

「15年やってきて、けっこう長く活動しているんですね、と言われますが、私の中ではまだ、物語の最初の方なんです。10年前、幼稚園児や小学生だった子たちが『ねんドルになりたい』と言って今も作品を作り続けてくれている。今、教室で会った子どもたちの中に、『将来、おねんどお姉さんになりたい』と言ってくれる子もいます。その子たちの行く末も、ずっと見守っていきたいですね」

おかだひとみ/1980年、群馬県生まれ。98年デビュー。活動休止期間を経て、2002年「ねんドル」宣言、子供番組を中心に出演する。13年よりEテレ『ニャンちゅうワールド放送局』で「世界ねんど遺産」コーナーを担当、「おねんどお姉さん」として人気を博す。ねんど制作の児童書も多数出版。

INFORMATION

個展『物語の途中で、』
11月2日(木)~7日(火) 12:30~19:00(最終日は17:00)
※11月3日(祝・金)、4日(土)、5日(日)の12:30~13:30、14:30~15:30、16:30~17:30は日時指定券が必要。
http://radical-planet.com/hitomi/

岡田ひとみ「Eテレで大人気のお姉さんが原点に返る〈ねんど作品〉の個展」

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

週刊文春をフォロー