親や先生の言うことを聞かない、学校生活に馴染めない、こだわりが強すぎる……。そんな子どもが身近にいる場合、大人は何をしてやれるのでしょうか。

 東大先端科学技術研究センターで「異才発掘プロジェクト ROCKET」のディレクターを務める中邑教授は、「空気を読めない子どもを無理に矯正するよりも、大人の余裕で接してほしい」と話します。

 中邑教授が上梓した『育てにくい子は、挑発して伸ばす』で紹介された、ビジネスや芸術の分野で活躍する2人の著名人と個性あふれる子どもたちのエピソードから、大人のふるまいを考えます。

ADVERTISEMENT

◆ ◆ ◆

 ROCKETに参加している子どもは、基本的に集団行動が苦手です。空気を読んで、周りに調和して、その場の雰囲気がよくなる発言をキャッチボールする。そんな芸当は到底、できません。中学3年生のB君も、そんな1人。世に言うところの、「空気が読めない子」です。プロジェクトの途中で突然、へそを曲げて、ひと騒動起こした末に帰ってしまうこともあります。一方で、思ったことをそのままストレートに質問するので、彼が授業にいると話が盛り上がります。

 ホリエモン(堀江貴文)さんに講義を頼んだ時、B君は堀江さんの子どもの頃の話の途中で勝手に外に出ていき、戻ってきたと思えば、「ところでおじさん、何やってる人?」と尋ねる。この時の堀江さんの返事は、さすがでした。

「ホームページ見て!」

 チームラボの代表の猪子寿之さんの講義でも、同じ。猪子さんが水族館でメディアアートの展示をしたスライドを見せると、すかさず、

「おじさん、それ水族館と関係ねえじゃん」

 猪子さんの返事は、シャレていました。

「おー。おれもそう思う。でも水族館に魚の勉強にくる人がどれだけいる? みんな癒されにくるんでしょ。だから、これもいいの!」

 大抵の常識人はB君の行為を無礼と感じるでしょう。でも、こんな突拍子もない発言を繰り出す少年に、怒るでもなく、さらっと流せる堀江さんや猪子さんのような大人が増えるといいなと思います。