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教師から濡れ衣を着せられ…「子どもの頃に受けた傷」が、大人になっても被害者を苦しめ続ける

「守ってくれる大人がいない」という地獄について

2021/09/16

genre : ライフ, 教育, 社会

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 二人とも、ふいに訪れる「消えたい」という強い誘惑と戦いながら、それぞれの数十年前、十数年前の傷を抱えて、ひたすらに続いていく日々をしのいでいるのだ。

一生の傷になる、死んでしまう子どももいる

 正直なところ、私は自分を害してきた家族のことはもちろん、あのときの教師のことも許せないし、これからも許すことはないと思う。共依存だった母親と完全に連絡を絶ち、家族と事実上絶縁状態になった今でも毎晩、家族が出てくる悪夢やフラッシュバックに悩まされている。

 濡れ衣を着せてきた教師に関しては、もう私のことなんて覚えていないと思う。もう一生関わることはないだろう。

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 最近、知人と連絡をとったとき、雑談がてら「もしも今になって相手が『許して』なんて言ってきたら、どうするか」と聞いてみた。

「許せないと思う。相手にとっては過去のことでも、自分の中ではまだ終わってないから」

 本当にそうだ、と思う。知人はたまたま死ななかっただけで、いじめを苦に自死してしまう子ども、またはその傷のせいで大人になってから死んでしまう大人だって存在しているのだ。

「いじめ」という言葉で問題が矮小化されがちだが、他者に対して危害を及ぼすことは「傷害」「暴行」であり、本来なら事件化してもおかしくないはずだ。

「子どもの頃に受けた傷」が、大人になっても被害者を苦しめ続ける、というのは、もっともっと広く世間に知られてほしい。

INFORMATION

いじめ、家庭内殴打、DV、セクハラ、パワハラ、SNSの誹謗中傷などで悩んでいる方へ
さまざまな人権問題の解決に向け、法務省により、電話やインターネット、LINEで無料相談ができる「人権相談」窓口が開かれています。

法務省:人権相談
https://www.moj.go.jp/JINKEN/index_soudan.html

希望する場合には支援や適切な措置をとってもらうことも可能ですので、一人で悩んでいる方は、まずは相談を。

教師から濡れ衣を着せられ…「子どもの頃に受けた傷」が、大人になっても被害者を苦しめ続ける

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