親が“大物”や“スター”と呼ばれる芸能人やスポーツ選手の子供たち。いわゆる“二世”は、どのような環境に身を置き、どのような思いを抱いて親を見つめ、どのようにして自身の進むべき道を見出したのか?
前川清の長男であるシンガーソングライターの紘毅(35)は、中学から「ボンボン」と呼ばれていじめの標的になり、音楽の道を目指そうとしても父から強く反対されたという。
まさに暗黒期という青春時代を彼はどのような思いで過ごしたのか、そうしたなかで希望を与えてくれた親友の存在などについて話を聞いた。(全2回の1回め/後編を読む)
「ボンボン」と呼ばれていじめられ……
――お父様といえば、大御所のなかの大御所ですが、そのあたりは幼い頃から意識されていましたか?
紘毅 僕は小学校から高校まで成城学園に通っていたんです。そこはお父さんお母さんが芸能人という同級生や友達がわりと多かったんですよ。しかも、バリバリの現役でテレビに出まくっている人ばかり。
でも、そうしたなかで僕の親父は「紅白歌合戦」とかでしか見ない人みたいな感じで。だから、小学校の頃なんかは「親父って、スゲーな」というよりは「親父、もっと頑張ってよ」「歌ってないで、ドラマに出てよ」とか思っていましたね。
――同級生や友達はお父様のことがピンとこなかったようですが、先生などの反応は違ったのでは。
紘毅 よく言われましたよ、「おい、前川。おまえのお父さんの『長崎は今日も雨だった』って良い曲なんだぞ~」とか(笑)。先生はそんな感じでしたけど、中学と高校では同級生から親父のことでイジられるというか、ネタにされるというか。
――やはり、周りが芸能人の子供ばかりだと二世格差みたいなものが生じるのでしょうか。
紘毅 あったといえば、あったんでしょうね。僕なんかものすごいお金持ちみたいなイメージがあったみたいで。でも、それでいじめられたんですよ。
――紘毅さんが教室に入ると、同級生たちが「ボンボン、ボンボン」と言いながら机をドンドン叩き出すと仰られていましたね。
紘毅 やられていました。今から2年くらい前に、僕のことを「ボンボン」と呼び出した奴と会ったんですよ。いまはもう普通に喋れる仲ですけど、よくよく話を聞いたらそいつの家のほうが遥かに金持ちだったんですよ(笑)。
中学生の頃っていくらか分別がついているといっても、他の子の親が何の仕事をしているとか、どんな会社に勤めているとかはわからないものじゃないですか。そうするとテレビに出ている息子というのは、お金持ちというイメージがあるんでしょうね。