きょう10月1日は、歌手・女優・声優と幅広く活躍する神田沙也加の誕生日である。33年前のこの日、歌手の松田聖子と俳優の神田正輝というビッグカップルのあいだに生まれた彼女は、そのときからマスコミに追われることになる。父・正輝によれば、彼女が最初に話した言葉は、パパでもママでもなく「マチュコミ」だった。父は、《意味も分からず話した言葉がそれじゃ、あまりにも不憫だと思ってね。だから、父親としてできることは少ないけど、沙也加のために100%できることをしようって決め》、運動会やバザーなど、仕事よりも娘とすごす行事を優先するようにしたという(※1)。
高校卒業後に芸能活動を休止した理由とは?
沙也加は2001年、14歳で菓子メーカーのCMに出演し、SAYAKAの芸名で芸能界にデビューする。同年のカンヌ国際映画祭では、その2年前、米国留学中にオーディションを受けて出演した短編映画『Bean Cake(おはぎ)』(デビッド・グリーンスパン監督)が短編パルムドールを受賞している。翌2002年にはシングル「ever since」をリリースし、歌手デビューも果たす。
その後、ドラマや映画に出演し、女優としても活動するようになった。2004年にはミュージカル『INTO THE WOODS』で初舞台を踏む。舞台との出会いは大きかったと、のちに沙也加は語っている。
《自分でオーディションを受けに行き、選ばれて、お稽古をして、努力を重ねてキャストと一緒に舞台を作っていく。それは自立を意味します。『INTO THE WOODS』に出演したとき、うまく自分を解放できずにいた私に向かって、演出家の宮本亜門さんは「あなたはあなたでいいんだ」とおっしゃった。その言葉が心に響きました》(※2)
舞台出演は新鮮で、その「生」感に緊張と喜びを感じてすっかり魅せられる。それと同時に、《ここできちんと自己形成をしないと何をやっても中途半端になる、先に進めない》と切実に感じるようになった(※3)。2005年、高校卒業を機に芸能活動を1年半休止したのは、そうした危機感からだった。自分を見つめ直すべく、研修旅行と称してニューヨークやロンドンへ舞台を観に行ったほか、ある店でアルバイトも始めた。このとき、《毎日同じ時間に起きて失礼じゃないメイクをして、奇抜じゃない格好をして制服に着替えて働く》という普通の人にとっては当たり前であろうことを、《19歳で初めてやった自分にぞっと》したという。それでも続けるうちにその仕事が楽しくなってきて、このまま就職しようかとまで考えた(※1)。