文春オンライン

長男の入園式でカメラマンに「ビンタ事件」も…山口百恵「普通の主婦でありたい」“信念”を40年守る理由

「伝説のコンサート“山口百恵 1980.10.5 日本武道館”」再放送

2021/01/30

source : 文藝春秋 2012年2月号

genre : ライフ, ライフスタイル, テレビ・ラジオ

note

 1月30日、山口百恵さんの特集番組「伝説のコンサート“山口百恵 1980.10.5 日本武道館”」がNHK総合で再放送される。人気絶頂の中での芸能界引退から40年。昨年、「三浦百惠」名義で出版した39年ぶりの自著であるキルト作品集『時間(とき)の花束 Bouquet du temps[幸せな出逢いに包まれて]』(日本ヴォーグ社)には発売前から予約が殺到し、大きな話題を呼んだ。

「花の中三トリオ」と呼ばれ人気を博した山口百恵、森昌子、桜田淳子。彼女たちは、それぞれどんな人生を歩み、還暦を迎えたのだろうか。(取材・文/中村竜太郎=ジャーナリスト)

出典:「文藝春秋」2012年2月号
(※年齢・肩書などは取材当時のまま)

ADVERTISEMENT

山口百恵さん ©文藝春秋

◆ ◆ ◆

デビューするまでの百恵の生い立ち

 俳優・三浦友和と結婚し、人気絶頂期に芸能界を引退、永遠のカリスマとなった百恵は、その後もマスコミに追われ続けた。84年に長男・三浦祐太朗(27)、翌年に次男・貴大(26)を出産。しかし子どもたちの成長にあわせて報道は過熱し、怒った百恵が長男の入園式に押しかけたカメラマンに対してビンタをした事件もあった。百恵番の女性誌記者が語る。

「デビューするまでの百恵の生い立ちは、彼女の著書『蒼い時』にも書かれているように、父親不在の複雑な環境で、経済的にも恵まれていなかった。彼女は芸能活動することで、母親と妹の面倒をみてきた。そして彼女がもっとも夢見ていたのは、普通の家庭を持つこと。そのためにスターの座を潔く捨て、愛する夫のために尽くすことを選んだのです」

日本武道館での山口百恵ラストコンサート ©文藝春秋

 いまなお芸能界では百恵の復帰が待ち望まれているが、「普通の主婦でありたい」という彼女の信念は揺るぎないようだ。最近出版された友和の自伝的著書『相性』(小学館刊)では、こう綴られている。

《妻の強さに救われました。そんな状況にあったのに、愚痴ひとつこぼさない。そればかりか、私のことを大変だろうと気遣ってくれているのが、伝わってくる》

 マスコミという敵と戦う同志でもあったという夫婦は、喧嘩をしたことがないという。長男は大学を卒業後、金融会社に就職するが退職し、「Peaky SALT」というロックバンドで08年にデビュー。次男は順天堂大学を卒業後、父と同じ役者でデビュー。映画『RAILWAYS』やCM『リポビタンD』などで注目された。