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――そうなると、自分の生まれた家を恨むというか、お父様のせいにしてしまうというか。

紘毅 人生で最も親父のことが嫌いになった時期じゃないですかね。やっぱり、学校には行きたくないわけですけど、行きたくないと親に言うと怒るわけですよ。「なにを調子に乗ってるんだ」「とにかく学校に行け」と。でも、その当時の僕からすれば親父のせいでいじめられているんだという気持ちがあった。

――その頃は、お父様に反抗したうえに見た目もワルっぽくされたそうですね。

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紘毅 イジられるのは嫌だし、舐められたくない。だったら、誰も近づけないようになってやろうって。ただ、その方向性を間違えちゃったんですね。

 

 耳にピアスの穴を3つくらい開けて、金髪にして、ブレザーを着ないで学校に行くという。喧嘩なんてやったことないし、気も弱いから、見た目で威嚇するというか。(イジってくる相手に)向かっていけないから、向かってこないでという感じ(笑)。それと同時に勉強するのもやめちゃって。

親父にピアスを一気に引っ張られて「ブッチィ」と耳が…

――お父様、黙っていないですよね。

紘毅 ピアスして家に帰ったら、ぶん殴られました(笑)。それで学校からも呼び出しを喰らって、両親と一緒に先生と面談することになったんですよ。面談というより、「すいませんでした、このバカ息子が」って親子で頭を下げる場を設けてもらったというか。その直前に、親父にピアスを一気に引っ張られて「ブッチィ」と耳が切れたので、絆創膏を貼った耳で。

 それで、親父が先生に会うなり「こんなふざけたヤツを学校に置いておいちゃ駄目ですよ」「コイツは明日から行かせないので、辞めさせてやってください」と言うんです。

 

――むしろ「辞めさせてほしい」と。

紘毅 それまでは学校に行きたくなかったはずなのに、そう言われた瞬間に辞めたくない気持ちになったんですよ。いじめられているといっても、友達はいたし、バンドもやっていたし、辞めたら会えなくなっちゃうし、バンドもやれなくなるぞと。

 先生に「勉強するし、ちゃんと成績も上の方を目指します。登校時間の30分前には教室に行って掃除します」ってその場で約束しました。「すみませんでした。学校、行かせてください」と頭を下げて。親父は「ああ」と返事して、「じゃあ、これでいいですよね。先生!」って(笑)。

 あの時の自分はまだ子供だったので、やっぱり親父は怖かったですね。