台風が来るとクレーンが使えない、雨が降ると舗装ができない…天候との戦いも
「ジャッキアップそのものは1箇所あたり1日あれば終わります。じっと脇で見ていると、『あー、あがっているな』とわかるくらい。通行止めから10日かけて撤去して、ジャッキアップを3~4日くらいかけて行い、その後に橋脚上の桁と床版をクレーン車で設置するのが数日といったあんばいです。
ジャッキアップによって通行止め期間を短くすることができたということはありませんが、工事の平準化やヤード不足の解消にはつながっているので、大きなメリットがあることはまちがいありませんね」(大原さん)
しかし、ちょうど取材をした時期は10月~11月にかけての台風シーズン。大雨などの工事への影響はないのだろうか。
「台風が来ると風が強いのでクレーンが使えなくなりますが、ほかはそれほど大きな影響はありません。ただ、雨が困るというと最後の舗装工事ですね。そこはどうしても雨が降ったら延期せざるを得ないんです」(大原さん)
「最悪の場合はバーナーであぶって…」
というのも、舗装工事の前段として床版には防水工(雨水がしみこまないようにする加工)が施されるが、床版に水分が残っているとこの防水工がのちのち剥がれてしまうこともあるという。そのため、乾燥した状態を保った上で防水工事を行わなければならないのだ。
「ですから、いちど雨が降ると、降っている期間はもちろんですがその後もしばらく工事をストップしないといけません。もちろんそれでも交通規制は予定通り解除しないとダメ。
今のところそこまでギリギリになったことはないですが、最悪の場合はバーナーなどであぶって乾かしたり、仮舗装で対応する必要が出てくるかもしれません。とにかく大事なのは、予定通り規制を解除するということなんです。
ちなみに、規制を解除すると、最初の1台目は必ず警察のパトカー及びNEXCOの黄色のパトカーが来ます。安全確認……というよりはペースメーカーですね。規制解除時間があらかじめ発表されているので、直前から待っているクルマもちらほらいるんです。先頭を走っているからといって飛ばしすぎたら困りますから、最初はパトカーが先導するんですよ」(大原さん)