「エビナ」と聞いて、今年晴れて調教師試験に合格した蛯名正義元ジョッキーを思い浮かべるのはだいぶ少数派であろう。ほとんどの人は、東名高速道路の海老名サービスエリアが頭に浮かぶに違いない。
なんでも、海老名サービスエリアは日本一のサービスエリアなのだという。コロナ前は1日になんと約10万人も訪れ、店舗の数もその売り上げもまた日本一。何度か行ったことがあるが、確かにいつもいつでもやたらと賑やかなサービスエリアだった。
そんなわけで、“海老名”の名は日本全国に轟いている。日常的に東名高速道路を使っている人はもちろんのこと、帰省やレジャーなどでしか高速道路を使わない人も海老名サービスエリアのことは知っている。クルマに乗らない人だって聞いたことはある。とにかく、日本一のサービスエリアのおかげで海老名という町の知名度はとりわけ高い。
「海老名にあるのは、もちろんサービスエリアだけではない」
そんな海老名にあるのは、もちろんサービスエリアだけではない。海老名市という約13万人の人口を抱える立派な市であるし、海老名駅という小田急線・相鉄線・JR相模線の3路線が交わるターミナルもある。東京都心からちょっと遠いこともあって、駅としての海老名はサービスエリアほどのなじみはないかもしれない。
つまり、今回はあのサービスエリアで有名な海老名のターミナルに行ってみた、ということなのである。
新宿から揺られること45分…
新宿駅から小田急線の快速急行に揺られること約45分。登戸も町田も通り過ぎた先、本厚木駅のふたつ手前に海老名駅はある。
小田急線は新宿から小田原まで約82kmを結ぶ路線で、海老名駅は新宿から42.5km。つまり小田原までの半分をほんのちょっと過ぎたくらいの場所にある駅だ。神奈川県の内陸部、県全体の中央部にあって、西側には相模川が南北に流れるその畔に位置している。
45分も電車に乗っていたらもはや駅に着いても立ち上がるのもおっくうになってしまうが、それでも小田原まで旅するわけにも行かないので重い腰を上げて電車から降りる。地上のホームから階段を登って橋上のコンコースから改札を抜けて、東口と西口を結ぶ自由通路へ。