現在、阪神圏の中国自動車道で進められているリニューアル工事。開通から半世紀が過ぎ、老朽化が進んでいる区間も多く、補修ではなく抜本的な更新工事が必要だということで始められた工事だ。
吹田JCT~中国池田IC間は約1ヶ月半にわたる全面通行止めを来年度にかけて実に6回。中国池田IC~宝塚IC間は通年6車線から4車線への車線規制を2024年度まで。阪神間を結ぶ大動脈でこれほどまでの大規模な交通規制が行われるのは、もちろん初めてのことだ。
そこで気になるのは、いったいどのような工事をしているのか、ということだ。NEXCO西日本でこのリニューアル工事を担当する阪神改築事務所所長の大原和章さんの案内で、実際の工事現場を見ることができた。
モノレール高架のすぐ横にクレーン!
最初に案内されたのは、大阪モノレール柴原阪大前駅のすぐ近く。大阪モノレールはほぼ一貫して中国道と並行しており、リニューアル工事の現場となっている吹田JCT~中国池田ICにかけてはまさに大阪北部、北摂は千里ニュータウンのど真ん中。
そこをモノレールと中国道、そして“下道”である大阪中央環状線が仲良く並んで走っている、というわけだ。
「この区間では、終日通行止め規制を行って宮の前高架橋・蛍ヶ池高架橋・豊中高架橋での老朽化した床版(路面の下の部分)の取り替えを実施しています。要するに、道路表面や橋そのものを『総とっかえ』しているわけです。
隣接してモノレールが通っている中での工事ですので、とうぜんモノレールの運行に影響がでないように細心の注意を払っての施工になりますね」(大原さん)
架け替え方法は大きく2つ…片方は“日本で初”の挑戦
具体的な高架橋の架け替えは、2つの方法で行われているという。ひとつはクレーンベント架設。わかりやすくいえば、高速道路上にクレーン車を設置して既設の床版と桁(橋桁)を撤去し、新しい床版と桁を架設するというものだ。
もうひとつはジャッキアップ架設と呼ばれる工法で、あらかじめ高架下で新しい床版と桁を組み立てておき、通行止め期間を利用してクレーン車で既設の床版と桁を撤去。下で用意しておいた新しいものを高架下からジャッキアップして架設する方法だ。高架下で河川や道路などと交差しておらず、作業スペースを充分確保できる場所において採用できる工法だという。