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 日中にはクレーンを使うことができないため、新しい床版や桁の架設はすべて夜。その後、防水工から舗装まですべてを行って、ようやく工事が一区切りとなる。そしてこれを必要な区間においてすべて繰り返していくというわけだ。さらに、規制する車線が変われば切り替え作業もしなければならない。

日中にはクレーンを使うことができないため、作業は時間によっても区切られている ©鼠入昌史

「年末年始などの混雑期には6車線にもどしますから、すべての工事が終わるまでは混雑期の都度、断続的に車線切り替えをやり続けることになります。ロードジッパーという仮設防護柵を移動させる機械を導入したので、一晩で規制の設置や解除が可能になりますが、やはり解除前は気を遣います。解除した後になって不具合を見つけても手遅れですから」(大原さん)

仮設の防護柵も使いながら作業は進む ©鼠入昌史
©鼠入昌史

 実際、終日車線規制の解除は気をつかうという。規制材を撤去するだけではなく、工事に用いた物資や廃材などの置き忘れがないか、大量のクルマが走っても問題ない状態なのかを何度も徹底的に確認して、はじめて解除できるのだ。

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“いつもと同じように”を支えているもの 

 ちょうど年末年始の帰省ラッシュもはじまるところ。ふるさとや行楽地に向かう人たちが中国道に乗り入れたときには、もうすでに車線規制はすべて解除されていて“いつもと同じように”走ることができるはずだ。

夕暮れ時の現場。作業は夜も続く ©鼠入昌史

 中国道を快調に飛ばしているときはもちろん、渋滞に巻き込まれているときも、ドライバーはまさかそこがリニューアル工事中だとは気がつかないだろう。完成から50年が経った高速道路の安全性などに意識が向くこともほとんどない。

 だが、それは限られた作業スペースで少しずつ、しかし確実にリニューアル工事を進めたり補修工事を行ってきたからだ。年末年始、ふだんは高速道路など走らないドライバーのみなさんも、少しだけそんなインフラを守っている人たちがいるということに、思いを馳せてみてはいかがだろうか。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。