相鉄とJRの相互直通運転がついにはじまった。相鉄沿線から東京都心に出ようとすれば、これまでは横浜駅でJRに乗り換えるか、逆側の海老名駅や大和駅で小田急線に乗り換えるしかなかった。それが、相互直通運転のおかげで乗り換えゼロで新宿まで行くことができる、というわけだ。この相互直通運転がどういうものかというあたりは盛んにニュースでも報じられているだろうから、このくらいにするが、相鉄沿線に暮らす人たちにとっては画期的な出来事だろう。

JRに乗り入れる直通線には最新車両12000系が使われる ©共同通信社

目覚めたら見覚えのない相鉄沿線……

 ところが、逆の立場から見ると便利になったと手放しに喜ぶばかりでもいられない。なにしろ、新宿から南方面に向かう埼京線の電車に乗ると、これまではだいたい大崎駅からりんかい線に直通してお台場を抜けて新木場駅まで。ところが、これからは「相鉄線直通、海老名行」という電車がやってくることになる。まもなくやってくる忘年会シーズン、ほどよく酔っ払っていつもどおり埼京線に乗ったつもりが、目覚めたらまったく見覚えのない相鉄沿線にたどり着いていた、なんてことになったら目も当てられない。

 問題は酔っ払った終電間際だけではない。新宿からお台場に向かうなら何も考えずに埼京線に乗ればりんかい線直通で連れて行ってくれた。これからはあわてて飛び乗った電車が「相鉄線直通、海老名行」だった日には、これまた気づいたときには相鉄沿線で顔面蒼白、ということもありうるわけである。

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直通線の路線図。二俣川駅と新宿駅間の所要時間は最短44分で、横浜駅を経由するよりも10分程度短くなるという

 このように、東京サイドから見ると新たな“リスク”が生まれた相鉄とJRの直通運転。となれば、ある日突然悲劇に襲われるその前に、相鉄沿線の駅を訪れてどんなところなのか予習をしておく必要があるだろう。終点の海老名駅まで行ってしまったら不幸中の幸いで小田急にでも乗り換えればいい。が、まったく聞き覚えのない途中の駅で降りてしまったら……。というシミュレーションを意識して、まずは二俣川駅を訪れた。