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初期費用が“100万円”なのに平均的なオーナー年収は“1600万円”…「ワークマン」フランチャイズ経営者の懐事情を解き明かす

『ホワイトフランチャイズ ワークマンのノルマ・残業なしでも年収1000万円以上稼がせる仕組み』より #2

2022/01/12
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年間売上げ1億8000万円の店舗で、店長の年収は約1200万円

 ワークマンでは荒利分配方式をとっているので、売上げ額には関係なく、月々の荒利益額を一定比率で分け合うことになる。

 加盟店が40%、本部が60%だ。

 ひと月の売上げが1500万円だったとすれば、平均荒利率=36%から計算して荒利益額は540万円となる。

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 このうち40%の216万円が加盟店、60%の324万円が本部と分けられる。

 この216万円から月々の経費である約29万円(内訳は営業経費の約22万円、棚卸ロス預託金2万円、在庫金利負担の約5万円)を引いた約187万円が分配金となる。

 地代家賃や宣伝広告費、物流費などはすべて本部が全額負担している。

 営業経費の約22万円とは、水道光熱費やビル管理費などの合計額だ。

 棚卸ロス預託金とは、年2回の棚卸によって精算することになるロス金額を見越して、あらかじめ積み立てておくお金である。年間ロスは平均で15万~20万円ほど。月2万円×11回で22万円が積み立てられているので、それよりロスが小さければ差額は返金され、ロスが大きければ差額が請求される。

 また、「店内在庫」はすべて店長が買い取り、契約を終えるときには逆にワークマンが買い取る方式をとっている。

 在庫の原価は2240万円ほどになるので、加盟時に一括でこの金額を払える人はあまりいない。そこで本部から買取り金を借り受け、毎月、利子(年間2.5%の金利)を支払っていくことになる。これが在庫金利負担の5万円である。

 金利を払っているだけでは借入金は減らせないので、毎月の分配金から10%返済していくのが基本となる(一括返済なども可能)。分配金から10%を返済していく場合、1500万円を売上げて分配金が187万円になったときには18.7万円を在庫の返済金に充て(返済が済めばなくなる)、168.3万円が口座に振り込まれることになる。

 人件費にどれだけ充てるかは店長の考え方次第だ。シミュレーションとしては、本部で推奨している売上げの4.5%(一般的に3.5~4.5%が多い)を人件費に充てるとして、1500万円×0.045で67.5万円。これを振り込まれた額から引けば、100.8万円となる。

 このシミュレーションでいけば、月の売上げが平均1500万円で年間売上げが1億8000万円の店舗であれば、店長が手にできるのは月に約100万円で、年間で約1200万円になる。

 

 売上げの1割には満たないが、契約満了時に戻ってくることになる店内在庫の買取り金を引いての数字である。これらのお金は収入から支払っていくものだと考えるなら、収入はおよそ1500万円ということになる。

 この金額にさらに付け加えられる収入がある。

 次に説明する褒賞金だ。