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「それに、僕はオリックスOBですから(笑)」佐々木朗希が“抜けなかった”19奪三振記録 野田浩司氏が語る期待感と正直な気持ち

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 故・野村克也氏が「おばけフォーク」と呼んだ野田氏を含め、日本球界には大谷翔平、千賀滉大、佐々木主浩、野茂英雄ら多くのフォークの名手がいる。その中で佐々木投手のフォークにはどんな特徴があるのだろうか。

「フォークの落差そのもので言えば、現状で言えば佐々木主浩さんや野茂英雄さんの方が大きいと思います。ただ佐々木君は160キロを超えるストレートがあって、それがフォークボールの効果をより大きくしている。あれだけ速かったら、多少ボール球でも打者は手を出してしまいますよね」

高校時代の佐々木朗希 ©文藝春秋

 佐々木投手が19奪三振を記録したのは、奇しくも27年前の1995年4月21日に野田氏が19奪三振を記録したのと同じ4月のZOZOマリンスタジアムだった(当時は千葉マリンスタジアム)。千葉マリンの浜風は有名だが、マウンドではどんな影響があるのだろう。

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「マリンの風は本当に強くて、試合が中止になることもあるほど。基本的にはセンター方向から海風が吹くんですが、その風がバックネットのスタンドに跳ね返るので、ピッチャーにとっては実は向かい風なんです。影響としては、ストレートの球速が落ちる代わりに、変化球が空気抵抗でよく曲がったり落ちたりしやすくなります。クセはありますが、慣れれば武器にもなる風ですね」

高校時代の佐々木朗希 ©文藝春秋

「佐々木君の試合では4メートルくらいだったので」

 野田氏が記録を達成した日も強風が吹いていた。

「僕が19三振を記録した日は風速8メートルでした。試合前から『今日の風はつよいぞ』って言われていましたが、普通にフォークを投げると落ち過ぎてバッターの前でワンバンになってしまうほど。僕も投げにくかったけど、バッターはもっと打ちづらかったでしょうね。ただ佐々木君の試合では風速が4メートルくらいだったので、スタジアムの影響というよりはやはり実力でしょう。向かい風で164キロを投げるのも信じられません」