「19奪三振という記録は同じですけど、僕は160球以上投げてヒットもフォアボールも食らってますからね。完全試合で19奪三振した佐々木君はレベルが全然違いますよ。ただ記録というのは破られるものですけど、実際に抜かれたらちょっと寂しい気持ちにはなるかもしれませんね。それに、僕はオリックスOBですから(笑)」

 佐々木朗希投手(20・千葉ロッテ)が4月10日のオリックス戦で達成した完全試合は記録ずくめだった。史上最年少、21世紀で初、初完投が完全試合、初の13連続奪三振、8者連続空振り三振……。その1つが、NPB最多タイの1試合19奪三振。

完全試合を達成した佐々木郎希投手 ©時事通信社

「抜かれる可能性は低くなってきたのかな」

 冒頭の発言は、これまで唯一の19奪三振記録保持者で、元オリックスの野田浩司氏のものだ。野田氏は佐々木投手が自分の記録を破ることを期待しつつ、少し寂しい思いもあったという。20年以上守り続けた記録に挑戦する新星の登場について、野田氏に話を聞いた。

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「現代野球で三振の数を重ねるのは至難の業になってきています。理由はピッチャーが1試合で投げる球数が減っていることで、たとえ8回を終わって16三振を奪っていても130球投げていれば間違いなく交代です。なのでひそかに、『僕の記録が抜かれる可能性は低くなってきたのかな』とずっと思っていたんですが(笑)、佐々木投手が9回を105球で投げきって19個も三振をとったのは本当に驚きました」

高校時代の佐々木朗希 ©文藝春秋

 野田氏も「異次元の投球」と脱帽だった。三振について佐々木投手は入団時、「まず抑えることが前提ですけど、(三振を)獲れる時はしっかり獲ろうと思います」と語っていた。