文春オンライン

「プーチンの支持率の高さには『マフィア的側面』がある」プーチンが利用してきたロシア国民の“不信感”の正体

ヤマザキマリ×小泉悠対談

note

10年ほど前、プーチンの目が急にキツネ目になったワケ

ヤマザキ 彼自身はマフィアとの関与は否定していますが、そもそも闇の多いメディア帝国の帝王でしたからね。まったく繋がりが無かったとはなかなか思い難い。なにせありとあらゆる利権を手中に収めていた人でしたから。

小泉 プーチンとベルルスコーニは気が合いました。10年ほど前にプーチンの目が急につり上がってキツネ目になったのですが、ベルルスコーニに薦められてプチ整形したらしいです。

ヤマザキ プーチンは、思惑通りの自分を象ろうと誇張し過ぎて実態が消えてしまった人という印象があります。イソップ童話の、身体を膨らませて大きく見せようとして破裂するカエルを思い出します。

ADVERTISEMENT

 

小泉 逞しいリーダーをアピールするときは、国民の前で裸で泳いでみせたり、上半身裸で馬に乗ってみせたりしました。

 でも、そうやって22年間も彼なりの理想の権力者像を演じているうちに、演技力は徐々に落ちてきたんじゃないでしょうか。特にコロナ以降は引きこもりがちで、かつてのような派手なパフォーマンスは稀になっています。

ヤマザキ 年齢的にも誇張を維持するのは相当しんどいはずなんですが。

小泉 一方のゼレンスキーは3年前まで人気コメディアンでしたから、演じる力はまだまだ残っています。

※続きは発売中の『週刊文春WOMAN vol.14(2022年 夏号)』「特集 戦争入門―戦争に慣れないために」にて掲載。後半でも「ドストエフスキー『悪霊』は重いラノベ」「安全保障を外国に依存すると『主権』がない?」など、刺激的な議論が続きます。

text:Atsuko Komine

ヤマザキマリ Mari Yamazaki
1967年東京都生まれ。漫画家・文筆家。東京造形大学客員教授。84年からフィレンツェの国立アカデミア美術学院で美術史・油絵を専攻。2010年『テルマエ・ロマエ』で第3回マンガ大賞、第14回手塚治虫文化賞短編賞受賞。2015年度芸術選奨文部科学大臣賞受賞。著書に『プリニウス』(新潮社、とり・みきと共著)、『オリンピア・キュクロス』(集英社)、など。最新刊は養老孟司との共著『地球、この複雑なる惑星に暮らすこと』(文藝春秋)。

小泉悠 Yu Koizumi
1982年千葉県生まれ。東京大学先端科学技術研究センター専任講師。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所客員研究員などを経て現職。2019年、『「帝国」ロシアの地政学──「勢力圏」で読むユーラシア戦略』(東京堂出版)でサントリー学芸賞受賞。近著に『現代ロシアの軍事戦略』(ちくま新書)、『ロシア点描 まちかどから見るプーチン帝国の素顔』(PHP研究所)。

「プーチンの支持率の高さには『マフィア的側面』がある」プーチンが利用してきたロシア国民の“不信感”の正体

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

週刊文春WOMANをフォロー