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ソフトバンク・今宮健太の活躍を支える『YANASE』のバットは何がすごいのか

文春野球コラム ペナントレース2022

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とにかく弾きが良く、耐久性にも優れている

 今年から今宮選手が使い始めた「YANASE」のバットは、オリックス・バファローズの福田周平選手や、阪神タイガースの近本光司選手も以前から使用している。福田選手も近本選手もプロ入り前は大学野球と社会人野球の両方を経験した。彼らのようにアマチュア時代が長く、やはりバットの質、使いやすさにハマってしまい、ずっとYANASEを使い続ける選手が多いようだ。

 私自身も自分に合うバットを追い求めて、いろいろなメーカーのバットを使用した結果、最終的にYANASEにたどり着いた。実際に私が所属していた福岡六大学野球リーグでも多くの選手に愛されていた。

 YANASEの木製バットの特徴は、とにかく弾きが良く、耐久性にも優れていることだ。さらに、独自の木製バットのための製材方法を確立している。私が大学時代にYANASEのバットを使用していた理由も、弾きの良さ、耐久性の高さがあったからである。

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 YANASEのバットに使われている木材は3種類あり、「ハードメイプル、ホワイトアッシュ、ヨーロピアンビーチ」に分けられる。

 それぞれの特徴としては、「ハードメイプル」は、バットにできる材木の中で、かなり硬度が高く、耐久性も高い。そのためNPBやMLBでの使用率が最も高い。

「ホワイトアッシュ」は、しなりと弾きの良さを兼ね備えており、MLB創設時以来、バットの材木として使用されている歴史の深い材種である。

「ヨーロピアンビーチ」は、メイプル、アッシュより比較的柔らかい材木であり、柔らかさから凹みやすいためボールとの接着時間が長い。よって、打球にスピンをかけるタイプの打者に向いている。

 このように、一言でバットと言っても、その材種によって、それぞれに長所があり、選手自身のストロングポイントや、打撃スタイルによって、材種を使い分けているのである。

状態の良さを象徴している右への鮮やかな打球

 今シーズン、自身に最適なバットを手にした今宮選手の活躍は言うまでもない。今年、とくに今宮選手のバッティングの状態の良さを象徴しているのが右方向への強い打球である。ライト線からセンターにかけて長短打ともに強い打球がかなり増えている。

 野球の世界では、これを「右に引っ張る」という言い方をすることもあるが、まるで左バッターが引っ張ったかのような打球が飛んでいる。右方向に強い打球が行くということは、ミートポイントが近くても詰まっていないということである。うまく力をバットに伝え、その力とYANASEのバットの弾きの良さでヒットにしているのだ。

 さらに、ミートポイントが近くてもヒットになるという自信が、さらにボールを引きつけて打てる要因になっており、よりキャッチャーに近い位置でボールを見ることにより、選球眼も良くなっている。メリットしかないこの循環を生み出した今宮選手が好結果を残しているのは、いわば必然なのである。

 ここまでのシーズンを通して、ホークスを引っ張ってきた今宮選手のバッティングは、決して強引に引っ張ることのない、右への鮮やかな打球なのである。これからも、残り少ないレギュラーシーズン、そして、クライマックスシリーズ、日本シリーズでの今宮選手の活躍から目が離せない。

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