なぜ「大津」は…
ホームから改札口に向かうには、階段を降りて地下の通路を抜ける。ところが、その通路から北口の改札を出るとすぐに駅前広場。逆に南口の改札を抜けると、地上まで階段を登らねばならない。つまり、大津駅は南から北に向かって下り坂になっている、そんな場所にあるということだ。
試しにまず南口に出てみよう。階段を登って(駅の西側にある地下通路を通って抜けることもできる)地上に出ると、すぐ脇には大きなホテル。あとは……特に何もない。申し訳程度のロータリーはあるが、バスもタクシーもない。いくつかの民家が建ち並んでいて、すぐ先には崖がある。
その崖を登っていくと(もちろんちゃんと道があります)、たくさんのクルマがビュンビュン行きかう国道1号だ。国道1号、まあすなわち東海道本線の道路版、旧街道の東海道の後継たる大動脈である。この国道1号よりさらに山側には名神高速道路も通っている。つまり、このあたりは山側から名神高速・国道1号・東海道線(JR琵琶湖線)と並びながら、琵琶湖に向かって少しずつ下り坂になっているのだ。
そして山側とは反対、北口を出ると、そちら側も緩やかに琵琶湖に向かって下りつつ、全体としては広い平地になっていて、そこに大津の市街地が広がっている。裏から見れば、大津駅はそうした大津の市街地の南端、全体を守るように控えている存在というわけだ。
駅ビルに立派な県庁舎もあるけれど…
だから、ということでもないのだろうが、いくら県内第4の駅とはいってもいちおうは県都の玄関口だ。小さな駅でも駅ビルくらいはあって、飲食店や宿泊施設までが入っているビエラ大津。もともとは1975年に完成した古い駅ビルで、2016年からいまの形になって営業しているという。
そんな駅前から、なだらかに下りながらまっすぐ伸びている大通りが「中央大通り」という。ずっと下っていけば突き当たりが琵琶湖だ。その手前、駅前から少し歩いて右に折れると滋賀県庁。大津駅と同じように、正面を琵琶湖に向けて立派な県庁舎が建っている。
ただ、この県庁舎は大津の町においては大津駅とよく似た立ち位置といっていい。というのも、中心市街地からはだいぶ離れた場所にあるのだ。