滋賀県は、すっかり京阪神のベッドタウンとして定着している。駅の周辺にはニョキニョキとタワマンが生えて、もともとその地域に住んでいた人はもとより京阪神方面に通勤するファミリー層が続々とやってくる。近畿地方では唯一人口が増えている(といっても微増ですが)県だし、草津市や守山市、栗東市などは全国的に見ても人口増加中という希有な町になっているのだ。
そんな滋賀県の成長を支えているのは、なんといっても新快速である。琵琶湖の東側を通るJR琵琶湖線、琵琶湖の西側を通るJR湖西線。新快速が停まるそれぞれの駅は、とにかく成長がめざましい。滋賀から大阪まで、いくら新快速でも遠いんじゃないかと思う人もいるかもしれないが、1時間程度だから充分に通勤圏内なのである。
そんな滋賀県でいちばん利用者の多い駅は…
と、そんな滋賀県でいちばんお客の多い駅はどこであろうか。やっぱり35万人近くが暮らす県庁所在地・大津市の玄関口、大津駅か。そう思って調べてみると、1日あたりの乗車人員は2021年度で約1万5000人程度。順位は4位である。県庁所在地のターミナルよりもお客の多い駅がさらに3つもあるのだ。
ここで答えをもったいぶっても仕方がないので明かしてしまうと、1位は草津駅で約2万5000人、2位は南草津駅で約2万3000人、3位は石山駅で約1万9000人。つまり、県内において人口増加率もいちばんの草津市内の駅が、特にお客が多いのだ。
実は、1位と2位はここ2年で入れ替わった。コロナ禍が始まる前の2019年度までは、草津駅が2位で南草津駅が1位。南草津駅は、滋賀県内で唯一1日の乗車人員が3万人を上回る駅だった。1位の座は2014年度から6年にわたってキープし続けていた。ここ2年はコロナ禍という特殊事情があることを踏まえれば、事実上南草津駅が1位といっていい。
「南草津」にあふれる若い人のナゾ
……へえ、南草津駅が滋賀県でいちばんの駅。などと言われても、草津市のターミナルは草津駅なのだから、その南にあるとおぼしき南草津駅、いったい何なのだ、と疑問がわいてくる。どうしてそんなにお客が多いのか。そして地味ならざる滋賀県ナンバーワンの南草津駅には何があるのか。これは訪れるしかないのである。
繰り返しのようで恐縮だが、南草津駅には新快速が停まる。京都駅で新幹線から乗り換えれば20分足らずの近さだ。