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「ボコボコにされました」「ロジックが通用しない」生物ハンターが南米で出会った《最凶生物》の正体

生物ハンター・平坂寛インタビュー #2

2022/12/31

genre : ライフ

note

平坂 その最たる例が、リュウジンオオムカデですね。2021年4月に新種として記載された虫で、それまでは、沖縄の山奥に何やら大きいムカデがいるということは知られていても、実際に遭遇した人はなかなかいませんでした。

リュウジンオオムカデと戯れる平坂氏(画像:本人提供)

 なのに、大きいムカデなら、すさまじい猛毒を持っているに違いない、というイメージが先行したのか、駆除すべきといった声が多数。これは風評被害を受けているな、と思ったんです。虫側の名誉を守りたい。虫に名誉もクソもないと思うんですけど(笑)、そんなことはないっていうのを、実際に噛まれてみて、知らしめたかった。

 もちろん、駆除が必要な場面では仕方ないと思うんですけど、不用意になんでもかんでもっていうのは、好きじゃないんですよね。虫っておもしろいよ! ということを、もっともっと知ってほしい。

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――今後、平坂さんが“先人”となって、受け継がれていく知恵もいっぱい出てくるんじゃないかと思います。

平坂 いままで興味がなかった方が、僕の本や記事を読んだり、あるいはYouTubeの動画を見てくださったりして、興味を持ち始めたとか言ってくれると、やっててよかったなと思うし、すごく嬉しいです!!

――平坂さんにとって、虫のおもしろさは、どういう部分ですか? 

平坂 バリエーションが豊富な点です。種数が多くて、形も変化に富む。見た目がおもしろくて生態も不思議で、僕らのいちばん身近にいる存在。そのなかでも、突出した特徴のある虫がおもしろいですね。そのひとつが毒であったり、力の強さだったりする。危険だっていうのは、すごくポジティブな個性だと思うんです。