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〈写真多数〉軽自動車に2人以上乗っていると上れない!? 関西最上級の酷道“暗峠”を走り抜けてみた

2023/02/26

genre : ライフ,

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おかしくなってきた“道”

 数百メートルほど走ると再び上下線が合流するが、合流しても道幅は1車線ギリギリしかない。

 住宅の軒先をかすめるようにして車が走り、対向車との離合はおろか、自転車や歩行者をかわすことすら困難だ。

道幅は1車線ギリギリ

 路面はアスファルトではなく、急斜面特有のコンクリートで舗装されている。

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斜面を上っていく

 急斜面ではローラー等でアスファルトを締め固めることが困難であるため、コンクリート舗装が採用されることが多い。コンクリートには円形の溝が無数に設けられているが、これは滑り止めの役割を果たしている。コンクリート打設時にOリング(オーリング)と呼ばれるゴムを並べて置くことで、窪みを作る。急な坂道でよく見かけるコンクリートと円形の模様には、このような理由がある。

滑り止めとして円形の溝が無数に設けられている

 住宅街を抜けると、勾配が一段と激しくなる。これまでに経験したことがないような上り坂だ。

恐るべき最大傾斜30%超!

 それもそのはず、最大傾斜はなんと30%を超えている。30%というのは、100メートル直進すると高度が30メートル上がるということ。暗峠の最大傾斜は31~37%(出典により誤差あり)と言われており、現地でアプリを使って実測すると40%を超えている箇所も確認できた。

筆者がアプリを使って調べると最大傾斜が40%を超えている箇所も

 日本における公道の勾配は、道路構造令により上限が12%と定められているなか、暗峠はそのおよそ3倍。驚異的な傾斜だ。数ある国道のなかでも、自動車道としては日本一の坂道といえる。

うねりながら斜面が続く

 峠までの道のりは、カーブが連続しながら猛烈な上り坂が延々と続き、平坦になる場所がほとんどない。

タイヤ痕から難度の高い道路であることが伝わってくる

 難所では車のタイヤ痕が幾重にも重なり、激戦の歴史が路面に刻まれている。タイヤ痕のひとつひとつに物語があり、ドライバーたちの汗や涙がそこにあるのだ。