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「他国は“それ”が上手くいっていませんでした」栗山監督と対戦国陣営の采配面での“決定的な違い”とは

第1回WBC優勝メンバー・薮田安彦が見た侍ジャパン

2023/03/15
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侍ジャパンの“不安要素”

 順風満帆なスタートを切った侍ジャパンだが、もちろん不安要素もある。昨年のセ・リーグ三冠王で4番の村上宗隆(ヤクルト)の不振や、守備の要である源田壮亮(西武)の負傷、そして韓国戦で3失点を喫したダルビッシュの状態など気になるところだが。

不振が続く村上宗隆選手 ©佐貫直哉/文藝春秋

「村上選手は調子が上がらず、打順を下げてみてはという意見もありますが、後ろを打つ吉田正尚選手(レッドソックス)の状態がよくきちんとカバーできているので、変にいじってリズムを崩さない方がいいと思いますね。村上選手もこのままで終わる選手ではないので、引きつづき4番でいいと思います。源田選手も同様で、他の選手がカバーすることができている。あとダルビッシュ投手ですが、きっと本人が一番悔しい思いをしているでしょうし、次の試合は持ち前の修正力できっとやってくれると思います」

 準々決勝のイタリア戦では、大谷とダルビッシュの2枚揃い踏みの登板も囁かれているが、負けたら終わりのノックアウト方式、薮田氏はどのような布陣を予想するのか。

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侍ジャパンを率いる栗山英樹監督 ©佐貫直哉/文藝春秋

「世界一を奪還しなければいけないという気持ちは強いと思いますが、当たり前の話、一戦一戦勝たなければ、そこへはたどり着けません。いかに選手たちは与えられた場所で、自分の仕事をするのか。イタリア戦は果たして大谷投手とダルビッシュ投手なのか、あるいは調子のいい戸郷投手、今永投手を準備するのか。準決勝、決勝も含めダルビッシュ投手の起用方法が今後の鍵になると思いますね」

 そして薮田氏が冒頭で語っていたチームの雰囲気の良さ。過去の侍ジャパンの戦いぶりは、負けたときはもちろん、勝ったときでさえ必死ゆえどこか悲壮感や焦燥感が漂っていたものだが、今回のチームは澄み渡った空のように清々しく明るい風情がある。