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「他国は“それ”が上手くいっていませんでした」栗山監督と対戦国陣営の采配面での“決定的な違い”とは

第1回WBC優勝メンバー・薮田安彦が見た侍ジャパン

2023/03/15
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「投打が非常によく嚙み合った1次ラウンドだったと思います。とくに印象的なのは、プレッシャーが掛かる状況にも関わらず、選手たちが笑顔で伸び伸びとプレーしていたことですね」

 このように『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)2023』の侍ジャパンについて語るのは、かつて千葉ロッテマリーンズでリリーフとして活躍したプロ野球評論家の薮田安彦氏だ。薮田氏は2006年に開催された第1回WBCの優勝メンバーであり、またメジャーリーグでもプレーをした世界を知る人物である。

第1回WBCの優勝メンバーである薮田安彦氏が取材に応えてくれた ©文藝春秋

4試合で与えたフォアボールはわずか4つ

 1次ラウンドの4試合を振り返れば、いずれも大勝だったわけだが、薮田氏がまず注目したのは投手陣の充実ぶりだ。

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「4試合で日本のピッチャーが与えたフォアボールはわずか4つでした。無駄な出塁を許さないことは、こういう国際試合では非常に重要で、他国のチームはフォアボールが二桁ありました。日本は得たフォアボールをしっかりとモノにして得点に繋げていましたね」

チェコ戦で圧巻の投球を見せた佐々木朗希投手 ©佐貫直哉/文藝春秋

 安定した投手陣とミスを突く野球。投手は大谷翔平(エンゼルス)やダルビッシュ有(パドレス)のメジャー組、また日本の至宝である佐々木朗希(ロッテ)、山本由伸(オリックス)といった先発組がクローズアップされることが多かったが、薮田氏が機能していたと高く評価するのが1次ラウンドでの球数制限65球の先発を支えた、いわゆる“第2先発”の面々だ。初戦を戸郷翔征(巨人)、以降、今永昇太(DeNA)、宮城大弥(オリックス)、高橋奎二(ヤクルト)が務め、やるべき仕事をまっとうした。