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「キワモノとかゲテモノ枠だったんですよ」山咲トオル(53)が明かす“同性愛者への扱い”が雑だった「20年前のテレビ業界」

元祖オネエ・山咲トオルインタビュー #2

2023/03/29

genre : エンタメ, 芸能

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 全盛期の1年間のテレビ出演本数は、なんと255本! 山咲トオルさんインタビュー2回目をお届け。

 多忙だった2000年代前半は、スタッフから「女性を好きです、と言ってくれませんか?」と頼まれたことも……。同性愛者であることをカミングアウトした山咲さんに残った“心のトゲ”とは?(全3回の2回目/#1#3を読む)

なぜ「女性を好きです」とウソをつかなければいけなかったのか? ©平松市聖/文藝春秋

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年間テレビ出演数255本! 床で寝る生活

――テレビに出るようになったことで生活も変わったんじゃないですか?

山咲 『さんま御殿』と『夜もヒッパレ』に出演しただけで、渋谷にお洋服を買いに行ったときに、センター街で人に囲まれちゃって。突然、何なの?って。

――世界が変わってしまったんですね。

山咲 その頃ってテレビの視聴率はすごかったから。もう急に忙しくなりました。私はヘアメイクとお洋服もずっと自前だったので、明日は仕事ですってなったら、お家に帰ってお洋服のアイロンがけから始まって、お靴を準備して出かけていくわけなんですけど。

――スタイリングやメイクもご自分でやっていたのなら、その準備も含めて相当忙しくなりますよね。

山咲 でも、それがストレス解消になったから良かったんだと思います。自分の時間が全くないから、赤坂のTBSさんで収録が終わったら、そのまま銀座に寄って、ドーンって洋服買っちゃってとか、そういうのが楽しかったです。

 30過ぎているババアっていうかオバさんではあったので、自分が好きなお洋服だけを着ちゃダメよ、と。満遍なくお洋服の種類を着回しましょうねという感覚で、たとえばお昼の奥様方が見る番組だったら白とかスカイブルーにするとか。そういうのも考えていたし、大変は大変だったけど、それがストレス解消の1つにはなっていたと思います。

玄関で目覚まし3つをかけて寝ることも

――お忙しい頃には布団で寝る暇がなくて玄関の床で寝ていたこともあったそうですね。

山咲 それはドラマや映画の仕事があるときですね。バラエティとかの収録はやっぱりちゃんと時間が決まっているじゃないですか。だから朝の番組のレギュラーとかじゃない限り、早起きしないと間に合わないってことはないんです。

 でも、映画、ドラマ、バラエティが全部重なっていたときとかは、やっぱり深く寝ちゃいかんということで、玄関で目覚まし3つをかけて寝ることもありました。

 その頃は、たとえばドラマだったら朝の4時から撮影をして、それが終わったら福岡のショッピングモールでトークベントがあって、その足で大阪のショッピングモールでもイベントに出る。

 東京に戻ってからレギュラー番組の収録があって、お家に帰ったらまた明日の洋服の準備をして、宿題とかアンケートとかを済まして寝る、という感じでした。2001年にテレビに出させていただくようになってから、それが2007年くらいまで続きました。

――多い時は最高で年間255本の番組に出演されていたそうですね。

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