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「厳しいポジションで投げたい」ヤクルト三輪広報も舌を巻く、田口麗斗の強心臓と髙津臣吾監督の心意気

文春野球コラム ペナントレース2023

2023/04/25
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リリーフ不在、開幕前の不安を吹き飛ばした男

 開幕前は「抑えのマクガフがいないから果たして……」などと、投手陣を心配する声も評論家を含め、たくさんありました。しかも、勝利に直結するリリーバーが固定されないのではないかと。

 しかし、そこに自ら名乗りを上げた男がいました。昨年は、中継ぎを任されていた左腕・田口麗斗です。

田口麗斗 ©時事通信社

「名乗りを上げた」と書きましたが、田口は自身のYouTubeで髙津臣吾監督を呼んで、その監督の前でリリーバーを直訴するという前代未聞の「リアルガチ名乗り」。

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 気合いを全面に出す投手で、スワローズにはあまりいないタイプなので、気にはしていましたが、あそこまでやる強心臓には、田口に比べたら少ないですが、修羅場をくぐってきたはずの元プロ野球選手の僕でも舌を巻いてしまいます。

「厳しいポジションで投げたい」。自分の実力を信じられない人間には言えない言葉。それをあえてYouTubeというツールを使い、上司の前で、全世界に向けて発信、公言する。

 しかも、田口の気持ちを汲んでなのか、いち選手のYouTubeに野球人の正装であるユニフォームを着て出演された髙津監督の選手への気持ち、懐の深さにも感じるものがありました。

結果を出さないと批判の的となるのに

 プロ野球選手ですから、もし結果が出なかったら、当然批判の的になる。そして、人間ですから、どうしても悪いことを考えてプレーしてしまうこともあるでしょう。しかし、全てを背負い込んで、試合や練習に打ち込んでいる田口。今日まで6セーブ、結果で見るものを納得させています。

 4月15日の広島戦で、2アウトを取りながら、秋山翔吾に食らった逆転サヨナラホームラン。クローザーとしては最も屈辱的な負け方をした日ですら、すぐにTwitterを更新し、「久しぶりの被弾 今まで出来すぎだな 今日は文句を浴びせてください! 明日からの活力に変えちゃいます」なんて言ってのけてしまう。

 実は、僕のこのコラムだって逆風にさらされることもあります。僕と比べるのはおこがましいかもしれないですが、彼はその何十倍、何百倍の逆風を浴びせられているはずなんです。

 いまや神宮名物となりつつある、勝利後のブルペンで行う“田口勝利の舞”だって、古巣・巨人に勝ち、踊ったときは、批判の声があったと聞きます。9回裏、ブルペンから出て、打者を抑え、ブルペンに戻り、踊る。投げるだけでしんどいと思うのに、ケロっとやってしまう。一体、彼のどこからそんなパワーが湧いてくるのか、ちょっと信じられないのです。

 そんな田口くん、僕はもうひとつ信じられないことがあります。以前、スワローズの公式YouTubeにも出てほしいと思い、カメラを向けました。すると、照れなんでしょうか、ほとんど使えない、小学生男子レベルの“ギャグ”をカメラに向かって言ってくる。僕も他球団の打者同様、田口に手を焼いていることをこの場を借りてご報告したいと思います。

まもなくローテに入ってくるだろう「もうひとりの男」

 好調な投手陣ですが、もうひとり気になる、いや常に気にしている男がいます。

 8年目の原樹理−−−。

 昨シーズンは7年目にしてキャリアハイの8勝。今季は当然開幕ローテーションに入るだろうと思っていたのですが、まさかの出遅れ。

 昨年、キャンプで会ったとき、バントのことを聞いてきた樹理。「僕は三輪さんのバントに一生ついていきますから」「三輪さんはバントの師匠ですからね」などと本気なのか冗談なのかわからないことを言ってくる可愛い後輩です。

 デスクワークをしていると風の噂で情報が入ってきました。

 4月19日、ファームで3回無失点。

「3回無失点」の投球の質がどうで、どういった内容かは、「テキスト速報」で見ている僕には当然わかりませんが、彼にとっては大きな「3回無失点」のはずです。

 会って、元気な顔を見ればなぜか安心する存在。

 今は投手陣が好調ですが、彼が必要となる日は近いはず。1軍のマウンドで、活躍するその顔をみせてほしいと思っています。

 最後に。打撃陣は今、調子が良くないですが、打つときが必ずくる。まだシーズン序盤、チームはいろんなことを試し、それが徐々に形になっていき、来る勝負のときに備えています。

 選手たちは「リーグ3連覇をしよう」と強い気持ちで臨んでいますので、変わらぬご声燕をおねがいします!

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