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「僕はスーパーカータイプ」エンジンもタンクもデカい中日・鵜飼航丞はフルスイングで未来を切り開く

文春野球コラム ペナントレース2023

2023/05/31
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「楽しみが増えた」の激励……そしてバウアーから今季初安打

 心に響く言葉も受け取った。5月10日の朝8時頃、兵庫県内にあるチーム宿舎の食事会場で、今季初の1軍昇格を告げられた。首脳陣へあいさつを済ますと、片岡篤史2軍監督から「頑張ってこい。2軍での成績も素晴らしいが、素振りやティー打撃で一切(力を)抜かずにやっていた鵜飼の姿勢を俺は見ていた。自信を持ってやってこい。また一つ、楽しみが増えたわ」と背中を押された。2軍ながら圧巻の成績を残したが、何よりもうれしかったのは練習への取り組みや姿勢を見てもらっていたこと。野球へ没入し、一心不乱に練習へ打ち込んだ日々は間違いじゃなかった。

 さらに今年から流れているオリジナルの応援歌も心強い後押しとなっている。声出し応援が解禁され、プロ野球のあるべき姿が日常に戻った。熱狂的なドラゴンズファンだった鵜飼は、幼少期からドームへ何度も足を運んでいた。選手に近い内野席で観戦することが多かったというが、選手個人の応援歌を口ずさみながら、タイロン・ウッズやトニ・ブランコの長距離砲に憧れを抱き、「アライバ」の華麗なプレーに魅了された。「(個人の応援歌は)すごくうれしいですね。パワーをもらえます」と喜ぶ。

 5月27日のDeNA戦、5回2死から代打で登場すると、MLBでサイ・ヤング賞を獲得した剛腕トレバー・バウアーのスライダーを振り抜き、今季20打席目でようやく「H」ランプをともした。鵜飼はこう振り返る。「えぐかった。ど真ん中のスライダーを振ってヒットにしたつもりが、あとで映像見たら外角低めだった。スライダーの曲がり幅が60センチあったらしいです。でも、とにかく1本出て良かった。これを自信にしてもっと打っていきたいですね。僕は、打つしかないんで」

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 しかし、竜の外野はタレントぞろい。2000本安打へカウントダウンを進めるベテラン・大島洋平に、昨季最多安打を獲得して中心選手になった岡林勇希。さらに、いま最もチームで頼れる男・細川成也と、実績、実力を兼ね備える3人が待ち構えている。交流戦はDHでの爆発も期待されている。

 5月30日に24歳の誕生日を迎えた鵜飼。今年は福岡で1つ年を重ねた。屈辱の9打席を、豪快に笑い飛ばせる交流戦にするために――。己のフルスイングで切り開くのみ。

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