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大谷でも、ダルビッシュでも、佐々木朗希でもなく…WBCで1番評価をあげた“20歳右腕”は「監督の意見に背く」Z世代の申し子だった

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 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で優勝した日本代表で、「史上最強」の看板を支えた大谷翔平(エンゼルス)、ダルビッシュ有(パドレス)、山本由伸(オリックス)ら先発投手は、そのクオリティーの高さで他の追随を許さなかった。

 中でも米球界関係者に最も評価を高めた投手を問うと、代表最年少20歳の右腕、高橋宏斗(中日)で意見が一致する。

 MLB勢で固めた米国との決勝ではマイク・トラウト外野手(エンゼルス)、ポール・ゴールドシュミット内野手(カージナルス)とMVP経験者を連続三振に。近い世代では高橋より1学年上の佐々木朗希投手(ロッテ)に注目が集まりがちだった大会で「(高橋の昨季の台頭を)把握はしていたが、実際に見ると、これだけの投手だったとは……。佐々木に引けを取らない才能がある」と西海岸のMLB球団のスカウトが評するほどのポテンシャルを感じさせた。

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WBC決勝でMVP経験者を連続三振にとった高橋宏斗 ©時事通信社

擬音語でしか表現できないフォーク

 米国戦は5回に登板し、1イニングを無失点に切り抜けた。連続三振を奪った最後の球をそれぞれ振り返ると、トラウトはワンバウンドするフォークボールで空振り、ゴールドシュミットは低めの直球で見逃しとした。

 真っ向勝負で、力でねじ伏せる圧巻の内容で、鮮烈な米国デビューを飾った。日本代表の栗山英樹監督が「一番大切な、打者をやっつけにいくんだという投手。大爆発する可能性がある」としていた可能性の片鱗を、世界に示した。

栗山監督 ©文藝春秋

 愛知・中京大中京高の3年時はコロナ禍のため春夏の甲子園が中止になった。存在をアピールできず、2020年秋のドラフト会議を迎え、地元球団である中日ドラゴンズから単独1位指名を受けた。1軍デビューした昨季は6勝7敗、防御率2.47。中日コーチとしてルーキーイヤーを知る元捕手、中村武志氏が語る。

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