「1年目はコントロールがなくて2軍だったが、何で(1軍に)上げないんだろうと思うほどモノはあった。(中日捕手の)木下(拓哉)に聞くと、フォークは『ブン』と来て『ブン』と落ちる。変化が擬音語でしか表現できないのは、もの凄い投手である証し。ストレートは低めほど威力があり、まともに捉えられる打者はいないのではないか」
WBC優勝後、米国でのアルコールの年齢制限でシャンパンファイトに参加できなかった投手が達している境地。中村氏は今季のNPBで「最もブレークする可能性が高い投手」に推す。
立浪監督は他球団選手との交流に抵抗感
特筆すべきはMLBでも注目される奪三振率で、昨季は116回2/3で134三振を奪い、1試合当たり10.34だった。規定投球回には届かなかったが、先発投手で小笠原慎之介(中日)が8.71、今永昇太(DeNA)が8.27で1、2位だっただけに、驚異的な数値だった。成長途上の体でも最速は158キロで、160キロ到達は時間の問題だろう。
WBC決勝では並み居るMLBの強打者にも臆することはなかった。中日のチームスタッフは強心臓を裏付ける逸話を明かす。
昨オフ、高橋は憧れであり、目標の山本とともに自主トレーニングを行った。
自らの考えを否定された高橋は予定されていた取材をキャンセル
「立浪(和義)監督は他球団の選手と会話を禁じるなど敵味方のケジメを求めた星野(仙一)監督の薫陶を受けている。高橋が山本と練習することに抵抗感があったようで、やめるように周囲に漏らし、本人にも伝わっていたのだが……」
高橋は指揮官の考えに背くかのように、NPB最強投手との合同自主トレを敢行したのだという。
この自主トレを機に山本のクイック投法のように左足を大きく上げないフォームを模倣し、沖縄・北谷キャンプで初めて入ったブルペンで試した。だが、それを見た立浪監督はたまらず、個別で昨季までの左足を上げるフォームにも取り組むよう指導。自らの考えを否定された形になった高橋が直後に予定されていた取材対応をキャンセルする事態になった。