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男女雇用機会均等法第一世代が迎える“定年” 「入社前に聞かれた洋服のサイズ」「外回りでも女性だけ帰社してゴミ集め」

男女雇用機会均等法第一世代が迎える“定年” 「入社前に聞かれた洋服のサイズ」「外回りでも女性だけ帰社してゴミ集め」

2023/06/20
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 『市川房枝、そこから続く「長い列」』の著書があり、5000人以上の働く女性を取材してきた野村浩子さん(元『日経WOMAN』編集長)は、当時の女性総合職についてこう語る。

「早々に辞めた人たちは、男性と同じ働き方を強いられながらも、男性と同じ仕事はなかなか任されないことに失望して職場を去りました。その後、大学院や留学で専門性を身につけたり、外資系企業で働き始めた人もいます。

求人票に見入る女子大生たち=1985年9月10日、東京・千代田区神田駿河台の明治大学 ©時事通信社

 厚生労働省『コース別雇用管理制度の実施・指導状況』の2014年度の調査では、女性総合職の入社10年後の離職率が58・6%、20年後では85・8%と極めて高いのです。

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 一方、踏みとどまった人のなかには、総合職女性にも課される朝の職場の掃除をしながら、ゴミ箱に捨てられた書き損じの企画書を拾って企画書の書き方を覚えたという女性もいます。今、定年まで勤め上げた1期生たちは、誰もが大変な努力をして生き残った人です」

必ず“女性初”と騒がれた

 金融機関で執行役員を務めていた中畑真紀さん(仮名)は、定年を控え、執行役員をもう1期できると思っていたのに、戦力外通告されてしまった。この春60歳の誕生日と時期を同じくして役員の任期が切れると、すっぱり仕事人生からリタイアした。

「私が本店課長になったとき、部長になったとき、そして執行役員になったとき、必ず“女性初”と騒がれました。明らかに私は女性枠で出世できたのです。