「何なんだよ日本。一億総活躍社会じゃねーのかよ。昨日見事に保育園落ちたわ。どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか。子供を産んで子育てして社会に出て働いて税金納めてやるって言ってるのに日本は何が不満なんだ? 何が少子化だよクソ」
2016年2月、ツイッター上で大炎上し、国会を揺るがす問題になった「保育園落ちた日本死ね!!!」ブログ。子育てと仕事を両立できない現実を、赤裸々につきつけた匿名の文章が私たちの生活にもたらした変化とは? 『AERA』元編集長で、ジャーナリストの浜田敬子氏の新刊『男性中心企業の終焉』より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)
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「#日本死ね」と長時間労働規制
2015年には女性活躍推進法が成立、企業には女性管理職推進目標の策定や公表が義務付けられるようになった。だが本当に女性が働くための、働き続けるための最低限の条件である環境の整備は整っていたとは言えない。その一つが保育園の整備だった。
2016年2月、1本のブログがツイッター上で大炎上し、国会を揺るがす問題になった。
「何なんだよ日本。一億総活躍社会じゃねーのかよ。昨日見事に保育園落ちたわ。どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか。子供を産んで子育てして社会に出て働いて税金納めてやるって言ってるのに日本は何が不満なんだ? 何が少子化だよクソ」
その後、「#保育園落ちた日本死ね」というハッシュタグと共に拡散され、育休から復職する際に保育園に入れない、そのために育休を延長したり、深刻なケースでは退職せざるを得ないといった待機児童が社会問題化した。
女性に「働いて」と言いながら、その基盤となる保育園が足りないという事態は、それ以前から働く女性の間では“常識”で、AERAでは何度も「保活を勝ち抜く」方法の特集をしてきたが、そんな基本的な問題が認識されないまま「輝け」と言われていたのだった。
さらに、これも2000年代から働く女性の問題を取材していれば、なぜ女性が働きづらく、産みにくいのかの根っこには、残業し放題の男性の働き方が一向に変わらないという問題があることはわかっていたし、記事を通して繰り返しこの問題を発信してきた。だが、なかなかその本丸の問題には手がつけられなかった。
明らかに空気が変わったのは2015年、電通で働いていた女性社員が過労自殺するという痛ましい事件があってからだ。過重労働に対する批判が噴出し、経済界寄りと言われた安倍政権も動かざるを得なくなった。