1986年の男女雇用機会均等法の施行から37年。今年度、“均等法第一期”の大卒女性たちが60歳の定年を迎える。皇后雅子さまも同い年だ。 

「性別による差別のない雇用」を謳った法律のもと就職した彼女たちだったが、法の施行後も、第一世代は閉塞感に覆われていた。男性と同じ働き方なのに同じ仕事は任されない中で、働き続けるのか、転職や結婚を選ぶのか、「選択の連続」だった女性たちに取材した「ルポ 男女雇用機会均等法第一世代が定年を迎える日」を、『週刊文春WOMAN2023夏号』から一部編集の上、紹介する。

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 新卒で就職した職場で、思いも寄らなかった役割を強いられたという経験は、今回取材した人の何人もが口にした。

・1週間に1度、カギ当番が回ってきて、就業開始は9時なのに、7時半に出社して建物のカギを開けて回らなければならなかった(シンクタンク)。

・MR(営業)の外回りがどんなに忙しくても、夕方4時に帰社してゴミ箱のゴミを集めて捨てにいかなければならなかった。同期の男性に「薬学部を出てやる仕事?」と笑われた(製薬会社)。

12月に60歳を迎える雅子さま(宮内庁提供)

・入社前の研修のときに、みんなの前で女子だけ洋服のサイズを聞かれた。女子はどこに配属されても同じ制服を着用しなくてはならない。私は身体が大きく、「15号」と答えるのが猛烈に恥ずかしかった(証券)。

・朝食ミーティングがあるたびに、出席者全員に「何のサンドイッチがいいですか? お飲み物は?」と注文を聞いて回らなければいけない。出すときに、コーヒーカップがカチャッといっただけで、文句を言われた(メーカー)。