まさか引退後に再びこんな自己紹介をするとは……少し照れ臭かった。今まで『ティーンズロード』でしか見たことがないレディースの頭たちがこうして一堂に会すると、なんとも言えないピリッとした空気があった。
全員の自己紹介が終わった後、担当の人から今後の活動の流れやら説明を受けた。
「たばこは吸っていいの?」
私のこんな一言に、レコード会社のえらい人たちが固まっていた。慌てて担当者が
「まだ未成年だから、吸っちゃダメだよ」
「え~、無理だろ、やめられねぇよ」
「吸うなら、見えないところで吸ってね」
なんとかそれでなだめられた。
スタッフたちは引き上げて、私たち5人だけが会議室に残された。
出会ってすぐに意気投合
ピリッとした空気のなか、京都のさちこが話しはじめた。
「なぁ、かおやんやろ? 私、『ティーンズロード』で見てたんよ」
「そうそう、私もずっと見てた」
秋田のじゅりもそう続けた。
三重のえみも「うちも、知ってる」、岩手のゆうこも「私も前から知ってた」と、みんな私のことを知ってるらしかった。
「かおやん?」
いきなりあだ名? 関西弁でそう言われたことがとても新鮮で、さっきまでの張りつめた空気が一気に溶けた。
すぐさま私たちは意気投合した。
レディース総長のあるある、気苦労など、共感しあえた部分があるからこそ仲良くなれたのだろう。
それに5人の役割、というか個性が面白いぐらい被ってなかった。
じゅりが一番年下で、とっても男らしい、妹みたいでかわいかった。
ゆうこはかなりマイペースで、好き、嫌いがはっきりしていた。
さちこが一番しっかりしていて、肝っ玉かぁちゃん。
えみは少し天然なキャラ。
私は……お笑い担当だったかな?
グループの名前は、みんなでいろいろ考えたけど、結局レコード会社が用意していた「鬼風刃(きふうじん)」――“鬼のように風を刃って走る”って意味だったかな――になった。