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神戸製鋼「データ改ざん」最終報告 不正を招いた“製造業の病理”は何か?

企業が抱える「チャレンジ」的なるもの

2018/03/12

 2017年10月に発覚した神戸製鋼所をきっかけに三菱マテリアル、東レなどと続いた日本企業の品質管理データ改ざん問題は、弁護士らによる社外調査委員会の調べで不正の核心と背景が解明されつつある。三菱マテリアルの子会社(三菱伸銅、三菱電線工業)に続き、神戸製鋼が18年3月6日、弁護士らによる最終報告書を発表した。日本を代表する名門企業で、社員たちはなぜ不正に手を染めたのか。そこには品質に関する現場の過信と、サラリーマンなら従わざるを得ない社内の生産至上主義や悪しき慣習があったようだ。

最終報告書についての記者会見に臨む神戸製鋼の川崎博也社長 ©getty

1970年代から続いていた「不正」

「役員を含む多くの者の認識や関与の下に長期間にわたって不正が継続してきた。当社は組織風土や役員・社員の意識面で根深い問題を抱えていると言わざるをえない」

 神戸製鋼の川崎博也会長兼社長は3月6日の記者会見で、不正が少なくとも1970年代から続き、現職の執行役員3人と元職の取締役ら2人が関与するなど、不正が長期間、組織的に行われていたことを認め、陳謝した。川崎氏は「多くの顧客に迷惑をかけた責任は大きい。再発防止策の実行は新しい経営体制でやるべきだ」と述べ、引責辞任する考えを表明した。経営トップがこう語るには事情がある。神戸製鋼が昨秋から弁護士に依頼して調査を進めた結果、新たな不正が次々と発覚したからだ。

 神戸製鋼はアルミ・銅製品などで、自動車・航空機メーカーなど取引先が求める強度や寸法等を満たしていない場合でも、社員が検査データを改ざんして出荷することが日常的にあった。最終報告書は長期間、組織的に不正が続いた要因として、「受注の獲得と納期の達成を至上命題とする風土」があり、「仕様を逸脱しても一定程度なら安全性の問題はないため出荷しても構わないという誤った考え方があった」と結論づけた。