少年のころプロ野球の応援歌に魅了されたコザック前田が、オリックスの応援歌を作るまで

退部と震災、その頃に観ていたのがブルーウェーブだった

　高校に進学して性懲りもなく野球部に入ったものの、あまり馴染めず、腰を痛めた事により1年で辞めた。中学3年の終わりに阪神大震災を経験して、家も半壊して近くの小学校の避難所と自宅を行き来する生活の中で、それにいっぱいいっぱいで野球をする事まで心が行かなかったのもあるかもしれない。

　兎に角、僕は野球を辞めた。ここで遂に野球選手になる夢は断たれたのである（まだ期待してたのかという話やけど）。

　こんな僕でも野球を辞めた後は何をして良いのか分からず、ブラブラと目的もなく過ごしていた。その中でもやはり野球は好きだったので当時オリックス・ブルーウェーブが仰木監督の元、リーグ連覇を成し遂げた頃だったので球場には行ってた。当時のグリーンスタジアム神戸は7回以降に入場するとタダで観れるというシステムだったので7回頃にスッと入っていた。でも野球に対する情熱は明らかに冷めていっていた。

音楽によって初めて“応援”してもらえた

　高3の夏に、ボーカルが居ないから歌ってくれや！？　と言われて初めてバンドと言うものをやる事になった。楽器も何も出来ない、ボーカルもカラオケでも中の下のレベルなのに人前で歌う事なんて出来るのだろうか！？　と思った時にふと頭に浮かんだのはプロ野球の応援団の二次会だった。

　あの人を盛り上げていくトークと迫力、あれをライブに取り入れれば何とか形になるのではなかろうか！？　高3の卒業間近に初ライブをした。友達が来てくれたのもあるのだがライブは大盛況だった。

　その時のお客さんに“ええぞー！！　頑張れ！！”とライブ中に声をかけられた。僕は生まれて初めて知らぬ人に“応援”をされた。野球でしてもらえなかった“応援”を音楽によって初めてしてもらえたのである。

　そこからのバンドの躍進は、ただの自慢話になってしまいそうなので割愛するが、とにかく僕のベースはやはりプロ野球の応援団なのである。

　順調に活動していた2005年の2月、僕はパニック症になった。その当時まだこの病気は名前も知られてなく、なんだか訳のわからない病気になったと人から思われながら半年の休みをもらった。

　その間、人混みにも電車にも乗れない僕を友達が「野球に行ってみいひんか？！」と言ったくれた。久々に行った球場、近鉄もブルーウェーブも無くなり、“オリックス・バファローズ”になっていた。

　交流戦の広島戦、バファローズの応援団の人が僕に声をかけてくれた。それが嬉しくて、後日新しく出すCD“つなひき帝国”を持って球場でお渡しした。

　大変喜んで下さり、そのままバファローズが得点した際には“得点帝国”として使って頂く様になった。そこからも交流は続いて、早川選手（現・小田裕也選手）やラロッカ選手そして讃丑歌というマルチテーマの作曲まで携わらせて頂いた。

　結局僕は夢がかなったのである。

　野球をベースに音楽をして人から応援されている。そしてこよなくオリックス・バファローズを愛し生きている。

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