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「人間というのは人に言えない秘密があって当然ですよね」稲垣吾郎が演じた“市井の人”に滲む狂気

映画『正欲』インタビュー

2023/10/05
note

“ある事件”によって5人の運命が交錯していく

 新垣結衣演じる桐生夏月は、他人に知られたくない性的指向に悩み、生きづらさに苦しんでいた。実家と職場を行き来する毎日を繰り返していたとき、中学校の同級生、佐々木佳道(磯村勇斗)と再会する。夏月と佳道は、暗黙の裡に同じ性的指向を共有する仲だった。社会で生きていくために、夏月と佳道は共同生活を営む。

©2021 朝井リョウ/新潮社  ©2023「正欲」製作委員会

 もう一人、大学のダンスサークルに所属する諸橋大也(佐藤寛太)もまた、自分の性的指向と葛藤していた。夏月、佳道、大也、大也と同じ大学に通う八重子(東野絢香)そして啓喜、5人の運命が、性的指向に絡んだ嫌疑が向けられた“ある事件”によって交錯していく。

©2021 朝井リョウ/新潮社  ©2023「正欲」製作委員会

稲垣 啓喜が、家族や部下、被疑者に言うこと、やっていることはすごく真っ当ですよね。狂気じみていたり、変わった言動があるわけでもない。そんな中で僕が意識したのは、夏月や佳道、大也といった人たちに対する啓喜の偏見や圧力のようなものでした。そこを鋭く持ちたいなと。それを表す言葉として、“狂気”がふさわしいのかわかりませんが、誰の中にもある面だと思います。

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 そんな啓喜を見た観客が、何が正しくて何が正しくないのか、何が普通で何が普通じゃないのか、ぐらついていく。そういう気持ちになっていただければ、自分のアプローチは正解だったのかな。最後が逆転の構造になっているので、観客を啓喜の目線に誘うことができたら、結果的に面白い映画体験になると思います。

稲垣吾郎さん

※稲垣さんが自身のパブリックイメージに思うことや、承認欲求についてなど、インタビューの全文は『週刊文春WOMAN2023秋号』でお読みいただけます。

text:Takako Sunaga photographs:Asami Enomoto
styling:Akino Kurosawa hair & make-up:Junko Kaneda

INFORMATION

『正欲』

©2021 朝井リョウ/新潮社  ©2023「正欲」製作委員会
11月10日(金)、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

いながきごろう/ 1973年、東京都生まれ。91年CDデビュー。2017年より公式ファンサイト「新しい地図」をスタート。毎週土曜日、NHK Eテレ「ワルイコあつまれ」に出演中。今年4月からはEテレ「趣味の園芸」の「稲垣吾郎 グリーンサムへの12か月」レギュラーゲストに。ABEMAのレギュラー出演番組が10月にリニューアル。舞台『多重露光』(10月6日~10月22日、日本青年館ホール)チケット発売中。

「人間というのは人に言えない秘密があって当然ですよね」稲垣吾郎が演じた“市井の人”に滲む狂気

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