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“底辺プロ野球選手”から“底辺YouTuber”に転身した男が炎上しても古巣・巨人をこき下ろす理由

文春野球コラム クライマックスシリーズ2023

2023/10/15
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こいつ、何様なんだ?

「おい、ジャイアンツ……。もうAクラス無理で、Bクラス確定してるって言っても、さすがに今日の試合はヒドないか? 戸郷(翔征)があんだけいいピッチングしてて、キャリアハイの13勝がかかっていたのに、それをダメにしてしまって……。来年に不安しか残らんのやけど、それ俺だけ?」(2023年9月30日)

 僕のYouTubeチャンネル「小山翔平 BASEBALL CH」は、こんな煽り文句からスタートします。

 金髪の若造、元プロ野球選手といっても、たった3年でクビになった育成選手。プロ野球界の底辺にいた僕が偉そうにコメントしているのですから、「こいつ、何様なんだ?」とお怒りになる視聴者も多いだろうと思います。

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筆者・小山翔平 (本人YouTubeより)

 10月13日現在、チャンネル登録者数6,340人。YouTuberとしても底辺にいます。巨人に対して辛辣な動画をアップした日には、多くの誹謗中傷が寄せられます。

 でも、意外に思われるかもしれませんが「よく言ってくれた!」「自分が考えていたことを代弁してくれた」というコメントもたくさんいただいているんです。

 冒頭はあえて煽り口調で話しているものの、中身はしっかりと根拠を持って、巨人への愛情を込めてお話ししているつもりです。チャンネル概要欄にも「愛ある批判をします!」と記していますが、僕がYouTubeを始めた理由はここにありました。

 巨人退団後、僕はパーソナル野球指導で生計を立てながら「経営者として成功したい」と考えていました。その夢は今も変わりませんが、「これだ」と自信が持てるビジネスを見つけるまでYouTuberをやってみようと決めました。

 といっても、プロ野球OBのYouTuberといえば里崎智也さんや高木豊さんなど、ビッグネームがひしめいています。現役時代に有名だったOBでも、チャンネル登録者数が伸び悩んでいる例もたくさん見てきました。

 その一方で、「巨人に対して忖度してないか?」と感じるYouTubeチャンネルも多々ありました。テレビや新聞などのマスメディアも、現場の指導者や選手に遠慮して言いたいことが言えないように感じたのです。

 今話題の「ジャニーズ問題」の根っこも、メディアの忖度があったはずです。僕は「巨人に対して忖度なく、愛を込めて言いたいことを言うチャンネルがあっても面白いのでは?」と考えました。

 現役時代にお世話になった指導者、先輩、後輩には申し訳ないですが、言うべきことは言わせてもらっています。ただし、批判するのは人格面ではなく、野球のプレーや采配のみ。人格否定にならないように気をつけています。

「毎日見てるで」(坂本勇人)

 先日、京セラドーム大阪での巨人戦を見に行く機会がありました。試合前に坂本勇人さんにご挨拶すると、こう言われました。

「YouTube毎日見てるで。めっちゃ面白いやんけ! 俺のこと、褒めすぎやろ」

 大ベテランの長野久義さんからは、茶目っ気たっぷりに「俺のこと、批判せんといてなぁ~」と言われました。選手や裏方の方々まで、僕のチャンネルを見てくれているようです。中には「もっと言っていいよ」というリクエストもありました。

 もちろん、根拠のない批判は誹謗中傷と変わりませんし、人生をかけて戦っている選手に失礼です。僕は「野球にくわしくない人でも伝わるように」をモットーに、動画を出すようにしています。その結果、少しでも野球を「面白い」と感じてくれる人が増えればいいと考えています。

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