1990年代、ミリオンセラーになった『DA.YO.NE』で一世を風靡したラッパーのGAKU-MC(53)。99年にソロ活動をスタートさせる一方、サッカーを通じてMr.Childrenの桜井和寿との関係が深まり、ふたりのサッカーへの愛から楽曲が生まれていくのは、もはや必然だった。そうして誕生したのが「ウカスカジー」というユニットであり、『勝利の笑みを 君と』というサッカー日本代表の応援歌だった。(全3回の2回目/3回目に続く

ラッパーのGAKU-MCさん ©細田忠/文藝春秋

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「サッカーに特化した曲を作りたい」から始まったウカスカジーの礎

――桜井さんとのコラボは、どういう形でスタートしたのでしょうか。

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GAKU-MC(以下、GAKU) 桜井が「ap bank fes」という音楽フェスで、僕の『昨日のNo,明日のYes』という曲をカバーしてくれたんです。桜井が歌うと、僕の曲にこんなにも彩りを与えてくれるんだって感動しました。それから音楽の話をするようになって、ある時、「サッカーに特化した曲を作りたいから、ラップをしてもらえるかな」って言われて。

 そうして作ったのが、06年に出した『手を出すな!』という曲だったんです。この時はまだ「GAKU-MC / 桜井和寿」という名義だったんですけど、これがウカスカジーの礎になり、僕らにしかできない曲を作っていくプロジェクトの始まりになりました。

GAKU-MCとMr.Children・桜井和寿氏のユニット「ウカスカジー」(MIFAのホームページより)

――『手を出すな!』がリリースされてから8年後の2014年、『勝利の笑みを 君と』が生まれます。

GAKU ブラジルW杯の時ですね。あの曲は、サッカー協会の人に頼まれて作ったわけではないんです。日本代表を本気で応援していましたし、俺ら以上にサッカーをやっているミュージシャンはいないから、俺らがサッカーの応援歌を作るべきだって、勝手にそう思って作ったんです。

「おお、おお、おおぉー」というサビの部分は、桜井がいきなり思いついたらしく、携帯を取り出して歌を録音していました(笑)。曲作りのアプローチは早かったんですけど、テンポを変えてみたり、コーラスを入れ替えたり、完成するまでにけっこう時間がかかったかな。