ラッパーのGAKU-MC(53)は、2011年からキャンピングカーで全国を回り、ライブ活動をしている。今年の夏に行った弾き語りツアーでは、自らキャンピングカーを運転して2678キロを走破。ライブの合間にジョギング7回、サッカー4回、サーフィン1回、洗濯8回をこなしながら、約1か月間で7公演を完走した。GAKU-MCがギター1本とキャンピングカーで実現する、ノマドライフとは――。(全3回の3回目/1回目から読む)
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移動や現地での時間を大事にしたい
――キャンピングカーで全国を回ってライブを始めたのは、何がきっかけだったのでしょうか。
GAKU-MC(以下、GAKU) 東日本大震災が起きた時、1か月間、ボランティアに行ったんです。僕らはテントで生活したんですけど、その時、キャンピングカーがあればいいなと思って。その年に行われた秋の復興ライブでは、友人からキャンピングカーを借りて会場まで行って、めちゃくちゃ楽しかった。
僕らって、ライブでいろんなところに行っているんですが、ステージと打ち上げとホテル以外の記憶がないんです。もっと移動や現地での時間を大事にしたいなあ、と思ったのが大きいですね。実際にキャンピングカーでいろんなところを見るようになると、日本にはいいところがたくさんあるなって改めて気づかされました。
やりたいことをうまく織り交ぜ…移動日の過ごし方
――ライブの合間、移動日とかは何をしているのですか。
GAKU 移動日はムダにしたくないので、ライブのスケジュールを考える際、やりたいことをうまく織り交ぜて組んでいます。福岡にはMIFA(Music Interact Football for All)のフットサル場があるからそこでサッカーしようとか、四国ならサーフィンをする友人がいるから一緒にやろうとか、そういうことで旅の彩りが増していきますし、楽しく過ごせます。体を動かすことで、めちゃくちゃ健康になれますしね。ミュージシャンは、健康第一だと思っていますから。
――運転していると眠くなったりしないですか。
GAKU 僕はすぐに眠くなるので、無理な運転スケジュールは組まないんです。一番長く運転しても、4時間ぐらいですね。
例えば、道の駅に寄った時は、地元のおいしいものを食べて、温泉に入って「今日はもう運転やめちゃおう」ってそのまま寝てしまいます。移動中は、だいたい夜9時ごろには寝て、早起きして運転していました。朝の方が交通量が少ないし、気持ちいいんですよ。
ひとりで運転している間は、ライブの録音を聞いてひとりで反省会をしたり、「Audible(オーディブル)」で池井戸潤さんの小説を聞いて、「やっぱり倍返しか」と独り言を呟きながら走っています。